共通認識が生み出すカット
Q:撮影はインディーズ体制だったのでしょうか。
山田:インディーズで撮りました。普段からインディーズで撮ることが多いですね。製作環境としては潤沢ではなかったので、役者さんには大変な思いをさせてしまったかもしれません。
Q:画のルックと演技も相まって、長編の一部を切り出した映画のようにも思えたのですが、画のクオリティは意識されていたのでしょうか。
山田:どちらかというと、生理的な面で「こういう画がいい」と思っている部分が大きいかもしれません。ただ、光の入り方はすごく意識していましたね。
Q:画を作る際にはリファレンスを共有されるのでしょうか。
山田:共有する場合もあれば、そうでない場合もあります。撮影監督との間に好きな画やシーン毎の共通認識があって、普通だったらカメラが寄って顔の表情を撮るような場面でも、「一歩引いて客観的に撮りたい」という同じ価値観があることでスムーズに撮れたりする。そういった共通認識によって、この画が生まれているのかなと思います。

『shady』
Q:撮影は何日かけて行われたのでしょうか。
山田:4日間かけて撮影しました。実は面白かったことがあって、夜中に新宿を出発して、ロケハンで決めたラストシーンの場所に1、2ヶ月ぶりに訪れたんです。そしたら雑草がすごく伸びていて。役者さんの身体や顔が全然見えないから、日の出前にスタッフ総出で草を刈ったんです。草の成長が早くて危なかったです(笑)。
Q:山田監督は、普段は映像関係のお仕事をされているのでしょうか。
山田:企業向けのプロモーションビデオやブランディングムービーを作っています。自分で監督をやったり脚本を書いたり、編集をすることもあります。そちらの仕事もこの作品のメンバーと一緒にやることが多いですね。
Q:編集は脚本通りでしたか。
山田:ある程度脚本通りの編集でしたね。尺も15分程度と想定していて、結果16分になったのでぴったりだったかなと。長回しが多かったので、皆からは「これは30分超えるよ」と言われていましたが、編集してみたら無事に収まりました。
Q:長回しで撮ったものはどういう基準で撮影や編集をされたのでしょうか。
山田:ワンカットで撮る場面は事前に決めていたので、カット割りを考えずに撮影しました。切るところは切る前提で撮っていましたね。役者さんが嗚咽するシーンがあるのですが、顔をアップで撮れば撮影も簡単で感情移入もしやすい。けれど、僕は一連の身体と表情を撮りたくて「絶対ここはワンカットで」とみんなに伝えていました。
Q:画のルックにこだわりすぎると演技に集中できなかったりして、演技とルックのプライオリティを両方上げるのは難しい気がしますが、本作は妥協していないように思いました。
山田:それは役者さんが優秀すぎたからでしょうね。
Q:出演者の方々はどういった経緯で出演されることになったのでしょうか。オーディションをされたのでしょうか。
山田:オーディションではありません。宮本和武さんは、以前にも僕の映画に出演していただいたので今回もお願いしました。塗茂るなさんは数年前まで台湾で俳優活動をしていて、日本に戻られたタイミングで出ていただきました。皆さんプロフェッショナルで、僕の要望を完璧にこなしてくれたと思っています。僕の考えている画にその人がハマるかどうかが大事で、そこが決め手となって選ばせていただきました。