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『左利きの少女』ツォウ・シーチン監督 ショーン・ベイカーと培った創作術、故郷・台湾で開花【Director’s Interview Vol.581】

©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

『左利きの少女』ツォウ・シーチン監督 ショーン・ベイカーと培った創作術、故郷・台湾で開花【Director’s Interview Vol.581】

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俳優たちが自ら決めた言語



Q:ショーン・ベイカーとの脚本執筆はどのようなプロセスでしたか? 最初から中国語で書かれていたのか、それとも英語で書かれたのでしょうか。


ツォウ:はじめは英語でこの脚本を書きました。ショーンは中国語がわからないので、私が英語で物語を語り、彼が文字にしていったんです。2011年ごろに書き上げてからは、ほとんど変更を加えていません。


その後、台湾で映画製作の助成金を申請するため、私がすべて中国語に訳したあと、2022年に撮影が始まる段階でセリフを整えました。台湾人が実際に話すリアルな言葉にしたかったので、俳優たちにセリフを研究してもらい、自分自身の言葉で話してもらったんです。本人の口調や言い回し、台湾人らしい話し方で演じてほしいと考えていました。


印象的なのは、祖父役のアキオ・チェン(陳慕義)から、「この役は中国語で話すのか、それとも台湾語なのか?」と聞かれたことです。「あなたがふさわしいと感じるほうを選んでください」と答えると、彼はとても自然に台湾語で話してくれました。すべてのセリフがここまでリアルに、台湾の地に根付いたものになったのは、俳優たちが自らのスキルを即興的に発揮してくれたから。私たちが、机の上で書くことができたセリフではなかったと思います。



『左利きの少女』©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:脚本を書くために台湾で取材を重ねたそうですね。長女のイーアンが、檳榔(びんろう)の売店で働いている設定はどのように生まれたのでしょうか。


ツォウ:1980~90年代の台湾において、檳榔の売店はとても大きな存在でした。当時、教育を十分に受けていない若い女性がお金を稼げる仕事をしたいときは、檳榔の売店で働くことが少なくなかったのです。比較的簡単に、手早くお金を稼ぐことができたから。


実際に檳榔の売店で働いている女性にインタビューしてみると、この仕事の社交的な側面を楽しんでいる人たちがたくさんいました。常連客と友達のような関係になり、それが人々の交流する方法のひとつになっている。彼女たちの話を聞くまで、私はそうした事実を知りませんでしたし、とても興味深く感じました。


Q:これまでショーンと手がけてきた作品にも、夜の街で働く女性や、周縁化された人々がしばしば登場していました。そうした存在を描くことへの関心は、この『左利きの少女』にも共通していると思いますか。


ツォウ:ある意味ではそうですね。この映画では、男性中心の台湾社会で、女性たちが抱えている困難を描きたいと考えていました。普段あまり目にしないものや、日常的に見ているにもかかわらず、よく知られていないものを、さまざまな側面から掘り下げたいと思ったのです。


私とショーンはこれまで、人々に知られていない物語や、ほとんど語られていない物語を描こうとしてきました。そうした物語には語られる価値があると信じているからです。彼女たちの物語を知るほど、観客は周縁化された人々に共感できるようになる。それは、彼女たちの存在に対して、社会全体がより関心を払うことにもつながるはずです。


Q:同じく劇中に登場する、密航を斡旋する組織のエピソードはどこから着想を得たのでしょうか。


ツォウ:これは台湾で脚本を書いていたとき、テレビで見たニュースに基づいています。組織の指示を受けた年配の女性が、若い女性と同行してアメリカに行き、入国審査をパスさせる。若い女性ひとりだと、そのまま帰国せず不法滞在するのではないかと疑われやすいのですが、年配の女性を同行させると疑われにくいんです。このことは『テイクアウト』にもつながっていて、あの映画に登場した中国人の不法移民も、こうした密航組織によってアメリカへ渡ってきた人々でした。2つの作品は互いに響き合っているんです。





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