観客の心に何を残せるか
Q:今回の撮影監督は初めて組まれる穐山茂樹さんです。スタッフィングにはどのような思いがあったのでしょうか。
中島:河瀨直美監督の『あん』(15)という映画でカメラマンをやっていて、その撮影が素晴らしいと思ったんです。私は長く広告の世界から離れているので面識はなかったのですが、ぜひお会いして話を聞いてみたいなと。それで一席設けてもらい、シナリオも読んでいただき、「こういう映画なんだけど、やってもらえませんか」とお願いしました。
現場は大変だったと思いますね。カット数が多かったですし、プロの俳優さんばかりではなく、障がいのある子供たちもたくさん出演しています。彼らのふとした瞬間を逃さず撮るための準備をしておかなければなりませんし、ライティングに時間をかけて子供たちを疲れさせるわけにもいきません。そうした制約がある中で撮影監督を務めてくださった。大変だったとは思いますが、満足のいく画を撮っていただきました。

『時には懺悔を』©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会
Q:2026年の今、この作品が世の中に出ていくことに対してどのような思いがありますか。
中島:こちらにどういう思いがあるかというよりも、「今を生きているお客さんたちが観てどう思うか」を、僕自身が知りたい。「お客さんの心に何を残せるか」ということが気になる映画を、素直に作ったということなのかなと。何よりもまず、映画をご覧になった方の感想を聞きたいですね。
結局、時代性や現代性というのは、私たちが理屈で語るものではない。現代の俳優さんたちが出演し、現代を生きる障がいのある子供たちが実際にたくさん出ているわけですから。それを「今の時代はこうだから」と考える必要はありません。もし、お客さんがこの映画に対して拒否反応を示すようであれば、映画の何かが間違っていたということでしょうし、逆に共感していただけるのなら、「今、この作品を出してよかった」と思えます。
障がいについてのテーマに限らず、観た方々が「自分があの中にいたらどう思うか」と考えたり、自分自身が抱えている「誰にも言えない問題」と重ね合わせたりしてこの映画を受け入れてくれたなら。そうしたお客さんの思いが広がっていってくれればと。実はものすごく間口の広い作品だと思うんです。どんな感想を持たれるのか楽しみです。
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監督/脚本:中島哲也
1959年生まれ。福岡県出身。CM制作会社を経て、87年からフリーのディレクターとして活躍。ACCグランプリ受賞の「サッポロ黒ラベル−温泉卓球編」など数多くの人気CMを手がけてきた。2004年、監督と脚本を務めた『下妻物語』で注目を集め、『嫌われ松子の一生』(06)で文化庁芸術選奨文部科学大臣賞。『告白』(10)で日本アカデミー賞最優秀監督賞・最優秀脚本賞受賞。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『時には懺悔を』
8月28日(金)全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会