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『顔 -かお-』ヨン・サンホ監督 映画の美学は欠乏から生まれる【Director’s Interview Vol.584】

『顔 -かお-』ヨン・サンホ監督 映画の美学は欠乏から生まれる【Director’s Interview Vol.584】

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原点回帰した構造



Q:インタビューを重ねることにより、事実が浮き彫りになっていく構図が効果的に機能していました。また、繰り返しによる単調さを避けるために留意したことなどはありますか。


ヨン:5回にわたるインタビューという構造自体が面白いと考えました。韓国の時事ドキュメンタリーでも、再現映像を交えながら証言で物語を解き明かしていく手法がよく使われます。そこで提示される話題が深く考える価値のあるものであれば、決して単調にはならないと確信していました。また、本作では中盤で大きな事件の真相が明かされます。それ以降は「誰がやったか」ではなく「なぜそうするしかなかったのか」を知る過程に面白さが移るため、この構造が十分に成立したのだと思います。


Q:これまでの作品で描かれてきたアクションやサスペンスは抑制され、人間ドラマが物語を牽引していきます。ストーリーテリングの面で留意した部分はありましたか。


ヨン:インディーズアニメを制作していた頃の作品である『豚の王』(11)や『我は神なり』(13)はスリラーの形式ですが、本作『顔 -かお-』の語り口は『豚の王』に近いと思います。『豚の王』も、久しぶりに再会した友人が語り合いながら過去の出来事を一つ一つ紐解いていく作品で、私自身こういう手法がとても好きなんです。その後はジャンル性の強い作品を多く手がけてきましたが、今回は久しぶりにその原点に回帰しました。今後もこのようなストーリーテリングの映画を作っていきたいと思っています。ただ出来事を提示するよりも、人間の深淵に素早く、そして深く入り込める表現方法ですから。観客の皆さんにとっても、それが面白いポイントになるのではないかと。



『顔 -かお-』ⓒ 2025 WOWPOINT, ALL RIGHTS RESERVED.


Q:これまでジャンル映画の大作を牽引してきた印象が強いですが、本作はその印象を大きく変える部分もあります。本作の製作にあたり、観客がヨン・サンホ監督自身に期待しているであろうものへの意識や懸念はありましたか。


ヨン:全くなかったわけではありません。通常、映画を作る場合は投資を受けることになり、私個人の満足だけで作品を作ることは出来なくなります。共に作業をする人々や、映画を信じて投資してくださった方々の考えも、当然反映させなければなりません。しかし、今回の『顔 -かお-』は外部からの投資を受けず、私たちの会社の直接投資で制作したため、そうした制約からは少し自由になれました。むしろ、俳優やスタッフといったフィルムメーカーたちが望むもの、「この映画をどう作るか」だけに集中し、自分たちが満足できる方向性だけを定めて追求すればよかった。そのおかげで非常に集中力の高い現場になりましたし、こうした経験は、今後また別のジャンル映画を作る際にも大きな勇気を与えてくれる、とても貴重な経験になったと思っています。




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