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『新感染 ファイナル・エクスプレス』“量”と“両”巧みな設定作りと演出の妙

『新感染 ファイナル・エクスプレス』“量”と“両”巧みな設定作りと演出の妙

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 『新感染 ファイナル・エクスプレス』を監督したのは、ヨン・サンホ。韓国アニメ界を代表するクリエイターで、これまでカンヌ国際映画祭の監督週間に出品された『豚の王』のほか、『我は神なり』『ソウル・ステーション/パンデミック』といった長編アニメを手掛けてきた。『新感染』はヨン監督が初めて手がける実写長編映画となる。


 夜明け前のソウル駅、釜山行きの高速鉄道KTX号は定刻通りに発車した。しかしその直前、挙動不審な女性が車内に駆け込んだことに気づいたものはいなかった。実は彼女、人間を凶暴化するウイルスに感染していたのだ。苦しく呻く彼女を助け出そうとした乗務員は襲われ、近辺の乗客は異変に気が付き出す。だが、感染した乗務員の襲撃を受け、次々と犠牲になる。鉄道という密閉空間、逃げ場は後退して車両を移動するのみ。乗客は様々な対策を講じて逃げ道を模索するが……。


トコロテンのように押し出されてくるゾンビの恐怖



 2017年7月16日に惜しくも死去したジョージ・A・ロメロ。彼がゾンビ映画というジャンルを確立して以降、世の中には様々なゾンビが生まれてきた。ロメロ自身は走るゾンビを嫌っていたが、時代の流れが速度を増し、観客がさらなる怖さを求めた結果、ゾンビはスピードを身に着けてきた。そして、2013年に公開された『ワールド・ウォーZ』に至っては、そこに“量”が加わり、ゾンビがゾンビのうえに折り重なりながら大量に迫り来る恐怖を生み出した。


 大雑把な分け方ではあるが、ゾンビの挙動という枠組みで見れば、『新感染』は『ワールド・ウォーZ』の系譜に連なる作品であるといえる。予告編でもご覧いただけるが、大量の感染者=ゾンビが高速鉄道の車内にトコロテンのように押し出されてくる映像はショッキングであり、絶望感を抱かせる。こういった演出面で怖さを煽りつつも、人体破壊等のグロテクスな描写が少ないところでも『新感染』は『ワールド・ウォーZ』と共通している。これはより多くの人に見てもらうべく、レイティングを意識してのことからだろう。


 日本では映画倫理機構(映倫)がレイティングを審査しており、G(誰でも見られる)、PG12(小学生には助言、指導が必要)、R15+(15歳以上が見られる)、R18+(18歳以上が見られる)の4段階に区分けしている。近年公開されたゾンビ映画では、『アイアムアヒーロー』がR15+、『バイオハザード:ザ・ファイナル』『Zアイランド』がPG12と、残虐性が求められるゾンビ映画ではPG12以上になりがちだ。しかし、『新感染』と『ワールド・ウォーZ』は、“量”という手段で恐怖心を刺激し、残虐性を出来る限り排除、誰でも見られるGの区分を獲得している。



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