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日本ではDVDスルー!エドガー・ライト笑撃のデビュー作『ショーン・オブ・ザ・デッド』が生まれた理由とは

© Photofest / Getty Images

日本ではDVDスルー!エドガー・ライト笑撃のデビュー作『ショーン・オブ・ザ・デッド』が生まれた理由とは

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『ショーン・オブ・ザ・デッド』あらすじ

ロンドンの家電量販店に勤務する29歳の男ショーン(サイモン・ペッグ)は、同居状態の親友エド(ニック・フロスト)と自堕落な生活をおくっていた。家ではエドとゲームばかりして、余暇はせいぜいパブでビールを飲む程度。そんな日常にウンザリした恋人に三行半を突き付けられて、ショーンは失意に暮れている。そんな中、ロンドンでゾンビ・パニックが発生。身近な人々が次々とゾンビとなっていくパニックに直面し、ショーンは恋人や家族を救うため、一念発起してロンドンの下町を駆け回る……!


 2004年4月にイギリスで公開された『ショーン・オブ・ザ・デッド』は、ゾンビ映画のフォーマットをリアルな人間ドラマとコメディに落とし込み、若い観客の笑いと共感を引き寄せて大ヒット。全米では同年9月に公開され、これまた熱狂的な支持を得た。こうなると日本公開の期待も高まるところだが、日本では劇場公開されぬまま、同年末にDVDスルーとなった。こんな面白そうな映画がなぜ!? ネット上での海外の情報を得て日本公開を楽しみにしていた人は疑問に思ったはずだ。筆者もそのひとりである。


 監督のエドガー・ライトは今やハリウッドに進出し、『ベイビー・ドライバー』(17)を世界的なヒットに導くほどの注目株。その成功も『ショーン・オブ・ザ・デッド』があったからこそだが、いったいこの映画は、どのようにして生まれたのか? 


Index


すべては人気TVシリーズから始まった



 まずは『ショーン・オブ・ザ・デッド』のストーリーをおさらいしておこう。ロンドンの家電量販店に勤務する29歳の男ショーン(サイモン・ペッグ)は、同居状態の親友エド(ニック・フロスト)と自堕落な生活をおくっていた。家ではエドとゲームばかりして、余暇はせいぜいパブでビールを飲む程度。そんな日常にウンザリした恋人に三行半を突き付けられて、ショーンは失意に暮れている。そんな中、ロンドンでゾンビ・パニックが発生。身近な人々が次々とゾンビとなっていくパニックに直面し、ショーンは恋人や家族を救うため、一念発起してロンドンの下町を駆け回る……というお話だ。


 そもそもの始まりは、ペッグが主演と脚本を兼任し、ライトが演出を務め、1999年と2001年の2シーズンに渡り放映されたTVシリーズ『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』。これは共同生活をおくることになったオタクたちの日常を描いたコメディで、ペッグがライト監督や共演のフロストらとルームシェアしていた時期の実話からヒントを得ており、リアルな会話や描写がウケてイギリスでは熱烈に支持された。その1エピソード「ART/ゾンビパニック」は、ゾンビ撃退ゲームに夢中になりすぎた主人公が、ゾンビの幻覚を見るようになってしまう……という物語で、このときのアイデアが『ショーン・オブ・ザ・デッド』のもとになる。ちなみに、ライトとペッグは同作のキャラと同様“オタク”であることを自称しており、その情熱はライトは映画や音楽、ペッグはSFに向けられているとのこと。



『ショーン・オブ・ザ・デッド』© Photofest / Getty Images


 そんなチームの再結集によって製作された『ショーン・オブ・ザ・デッド』はタッチこそ『SPACED~』に似ているが、一方では本格的なゾンビ映画でもある。ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(78)から音楽を拝借したオープニングからして、それは明らかで、本編中にも数度、同作のサウンドトラックが流用されている。他にもロメロへのオマージュは多く、ゾンビの群れがはらわたをむさぼる凄惨なバイオレンスはその典型。また、劇中にはショーンらが通りにあふれたゾンビを欺くために、ゾンビの振りをしながら避難するという印象的なギャグがあるが、その際にライトはロメロの『死霊のえじき』に登場する教化されたゾンビ、バブのように見えるよう役者たちを演出したと語っている。



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