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『猿の惑星』三つの色を持つ住人たち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.13】

『猿の惑星』三つの色を持つ住人たち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.13】

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物知りオランウータンは知識層





 コーネリアスとジーラの上司ザイアス博士に代表されるオランウータンは、猿社会の頭脳的存在。一作目の時点では指導者層もオランウータンが占めていたようだ。見ざる聞かざる言わざるの三猿のポーズを取る三人の裁判官も印象的。ザイアス博士は猿の惑星の秘密、かつては人類のほうが支配者だったことを知っており、猿支配の正当性が揺らぐのを恐れてそれを隠していた。悪役と言っても差し支えないキャラクターだが、どこか憎めないところもある。もともとオランウータンが好きなので、ザイアスも個人的にお気に入りのキャラクターだ。二作目『続・猿の惑星』ではさらなる脅威の登場のため、悪役度は少し落ちて、くたびれた雰囲気に。衣装はオレンジ色、皮膚は明るく体毛は金色っぽい。


 元祖シリーズではザイアス博士をはじめ、どちらかというと偉そうだったり狡猾そうなキャラクターという感じがするけれど(良いやつが出てくるのは5作目『最後の猿の惑星』くらいか)、リブート作品でのオランウータンは賢く優しい仲間として描かれる。オランウータンのモーリスは主人公シーザーの頼れるブレインだが、とにかくその表情を見ているだけでうるうるとしてしまう。温厚な眼差しが素晴らしいんだ。


 モーリスという名前は前述のザイアス博士を演じたモーリス・エヴァンスから取られている。同じオランウータンのキャラクターとしての繋がりだが、優しいモーリスの子孫から、やがてはザイアス博士のようなオランウータンが登場するのかもしれない、という未来への想像もかき立てられる。


 ティム・バートンによる独自作品『PLANET OF THE APES/猿の惑星』でのオランウータンは、グレン・シャディックスが分厚い特殊メイクで演じたネード元老院議員だった。元祖シリーズでの狡猾さや、リブート三部作での優しさともまた違う、半ば堕落したような政治家というイメージで描かれた。



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