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『バッド・ルーテナント:トウキョウ』三池崇史監督 撮りたいのではない、撮って何が起こるかを見たい【Director’s Interview Vol.596】

『バッド・ルーテナント:トウキョウ』三池崇史監督 撮りたいのではない、撮って何が起こるかを見たい【Director’s Interview Vol.596】

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脚本:天願大介の面白さ



Q:脚本の天願大介氏とのタッグはこれまで多くありますが、今回も想像の斜め上をいく展開に驚きます。物語について天願さんとはどのような話をされたのでしょうか。


三池:基本的には一旦丸投げです(笑)。これまで数多くの作品をやってきましたが、いつも「第一稿」を読むのが好きですね。最初は欠点もありますが、光るところもいっぱいある。その欠点が読み取れることが、自分にとって非常に役に立つんです。要は「現場でここを修正すべきだ」というポイントが見えるわけですから。


「キャスティングをこうしよう」とか、「セリフをこう変えよう」とか、色々な人間が意見を出して脚本を練り上げていくと、確かに欠点は消えていきます。でも、そうやって作業している半分以上は、実は欠点をごまかしているというか、見えなくしているだけ。一旦は欠点がないような完璧な脚本に見えてしまうけれど、実は本質は何も変わっていないということが多い。だからこそ、一度第一稿に戻って発想し考える。そうした点において、天願大介の第一稿ってものすごくみずみずしいんですよ。


多分、まとまった良いお話や、映画的な展開を見せて感動させようとか、そういうことはあまり考えてないんでしょうね。「人生、そんなに上手くいかないでしょ」という破綻ぶりがリアルで、それを取り繕おうとしない潔さがある。そういう脚本家って今はあまりいません。皆どうしても忖度しちゃうんです。「今時はこうですよね」「これだと予算がかかりますよね」「これあまりにもくだらなすぎて、みんな訳分からないですよ」って。皆がなんとなくOKを出すようなものを作らないと、後が大変ですから。



『バッド・ルーテナント:トウキョウ』© 2026 BLT TOKYO LIMITED. All Rights Reserved.


彼の脚本は不思議で、ト書きが本当に少ないんです。時には全くない時もある。とある二人が会話していて、最後にふと「もう1人いた!」みたいな展開が出てきたりする。それでも、人間が立っているのか座っているのか、どう動いているのかというイメージが自然と浮かんでくるんです。


多分、空間設計が本能的にできているのでしょうね。机上でセリフのやりとりだけを書いているというよりも、その場所にいる人間を書いている。「この話をする時はこっちに移動して小声で言わなきゃ」「こいつには聞かせたくない」といった、人間の声の大きさや視線。見える場所にいるのか、影のある場所にいるのか、そういう空間がしっかりとあって、その中で登場人物たちが動いているのを書き留めている。そういう感覚なので、こちらとしても現場ですぐに再現できちゃうんです。もちろんズレは生じるわけですが、そのズレを許してくれるというか、「ズレてもいいよ」という自由さが天願脚本にはあるんですよね。だからすごく面白い。





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