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『mentor』吉田恵輔監督 破壊的で新しい描き方、自分が当事者になれる映画を【Director’s Interview Vol.598】

©2026「mentor」製作委員会

『mentor』吉田恵輔監督 破壊的で新しい描き方、自分が当事者になれる映画を【Director’s Interview Vol.598】

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綾野剛と作り上げた、近所にいそうな「メンター」



Q:この映画で驚いたことがありまして。綾野さんが最初に画面に出てきた瞬間からずっと、吉田監督に見えていたんです。埜本がまるで吉田監督と同じ体の動きをしている気がして。


吉田:ああ、なんかチャカチャカしてる感じ?


Q:キャップを被っているせいもあるかも知れないですけど、シルエットも含めて、人柄がというより生き物として似ているように見えました。どうしてそんなことが起きているのか、監督はわかってやってるのか、綾野さんがわざとやってるのか、ただの偶然なのかもわからないんですけど。


吉田:俺にもわかんない(笑)。


Q:ご自身ではそうは思わなかった?


吉田:あんまり思わなかったですけど、もしかしたら、綾野さんが俺の胡散臭さを参考にされたのかもしれない(笑)。


Q:綾野さんとは埜本というキャラクターを作る上で、どんな話をされたんですか。


吉田:まあ事前にちょっとは喋りつつ。わりと撮影の序盤で、海でゴミ拾ってるシーンに、拓海が「僕、友達いないですし」って言うと、埜本が「俺がいるじゃない」って言うセリフがあったんです。台本上ではそうなんだけど、それを「俺、俺俺!俺がいるじゃない!」みたいな、ちょっとイタいというか、まだそんなに仲良い距離じゃないのにおどけて「って、おーい、俺は、俺は?」って突っ込むみたいな。そういう気持ち悪いノリをちょっと提案してみたら、綾野さんが喜んでやってくれたんです。そのおかげで、埜本はそれくらい崩しちゃっていいんだって思えた気がするんですよね。もうちょっとコミカルというか、くだけてる感じなのかなって、作っていく中で広げていった感じはします。



『mentor』©2026「mentor」製作委員会


Q:シナリオでイメージしていた埜本像が、現場で綾野さんとやることで変わっていったと。


吉田:そうですね。お互いに思っていたキャラクターからは、ちょっと変わってきたんだろうな。少し人間臭く見えるようにはなりましたね。神様みたいなメンターの人って、胡散臭さや気持ち悪さがあって映画的にはいいんだけど、もうちょっと近い距離の感じがいいなと思っちゃったんです。あんまり特殊なキャラクターにしないで、近所にいるかもしれないレベルの喋り方や動きになっていった。教祖というよりは、近所にいるかもしれないレベルの雰囲気感。逆の振り幅として、最後には末澤君のキャラが「違う、違うよ、間違えてるよ!」っていう感じになるといいなと思ってました(笑)。


Q:まさにそのラストシーンを見て、「吉田監督、やっぱりやりやがったな!」という気になりました(笑)。例えば『空白』や『ミッシング』って、どちらも吉田監督らしいし、すごくいい映画なんですけど、別の視点から見たら「賞を獲りそうな映画」でもあるじゃないですか。今回の『mentor』は「もう俺、賞とかいらないんで」と宣言してるようにすら見えました。


吉田:それはそうかもしれないですね。でも『神は見返りを求める』(22)の時もまったく同じ感覚だったんですよ。『ミッシング』はこれなら賞は獲れるだろうみたいな雰囲気で作ってたんだけど、実は『神は見返りを求める』の方が脚本賞をもらって、『ミッシング』では俺、無冠なんですよね。


Q:ああ、それは確かに戸惑いますね。


吉田:うん、おかしいなと思った(笑)。「番狂わせにも程があるだろ!」って。日本映画批評家大賞で脚本賞もらって、「え?コレって『神は見返りを求める』だよね?」みたいな。




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