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『mentor』吉田恵輔監督 破壊的で新しい描き方、自分が当事者になれる映画を【Director’s Interview Vol.598】
次世代に受け継がれる「吉田映画」
Q:今回の映画もそうですけど、やっぱり他の人に書けないジャンルとして確立していることへの評価なんじゃないですか。
吉田:それはそうかもしれない。だから今回すごく自信があるのは、きっと他とは被らないだろうと思ったんです。例えば『神は見返りを求める』もテーマは普遍的で、当時も『アリー/スター誕生』(18)だって近いこと言ってたし。あとYouTuberが主人公の物語だって同じ年にあったかもしれないし。だから『ミッシング』のときは、最初の情報公開を早くしてもらったんですよ。「子供がいなくなる話」は別の誰かにも同じタイミングでやられるかもしれない。テレビドラマとかだと早いじゃないですか。そのこと自体は別にいいんですけど、真似したと思われるのも嫌だから。俺ってわりとデビュー当時からネタが被るんですよね。
Q:『麦子さんと』(13)の時もそうでしたね。
吉田:あれは朝ドラの「あまちゃん」(13)と被った(笑)。『空白』の時も『スリー・ビルボード』(17)をやられちゃったり、同じテーマの強い作品が来ちゃったなということが結構あるんです。でも『mentor』はあんまり被りようがなさそうだって思って。

『mentor』©2026「mentor」製作委員会
Q:ただ、吉田監督もご覧になっている映画ですごく近いものを感じた作品があったんです。『我々は宇宙人』(26)なんですけど、どちらも小学生で親友だった2人の気持ちと人生が分かれていく話だし、日常の切り取り方も、吉田監督作品をSTUDIO4℃が総力を上げてアニメ化したみたいだなって思ったんです。吉田監督はコメントを寄せられてましたよね。
吉田:『我々は宇宙人』の門脇康平監督から、俺の作品をすごく勉強したのでぜひ試写に来て欲しいですって言われて、観にいったんです。そうしたら今年で一番好きな映画になって、コメントも出したし、飲もうよって誘って仲良くなったんですけど、「影響を受けた監督とか聞かれるんですけど、吉田さんのことはなるべく言わないようにしてます」って。構造が『ヒメアノ~ル』(16)と一緒なので、俺の名前を出すとパクリだって言われるからって(笑)。
Q:確かに、どちらも真ん中にタイトルが来る構成ですよね。
吉田:子供の時は同じ学校で一緒にゲームとかしてた仲だったのに、大人になって相手を殺そうとする状況っていうのも一緒で。とりあえず俺のことは「なるべく喋らないようにする」って言ってんのに、俺にコメントちょうだいって言うんで「俺?いいの?」と思いましたけど。たぶん趣味がすごく近いんだと思うんです。なんなら俺も、次はもっと『我々は宇宙人』に近いことをやりたいって思ってましたから。
Q:それってやっぱり「吉田映画」というジャンルができているからだと思うんです。吉田監督がやってきたことが、ちゃんと若い人にも広がってる。
吉田:それが実写なら被るのはちょっと嫌だなとか思うけど、アニメだと広がった感じがして、むしろ「なんかいいな」と思ったんですよね。『mentor』もそうだけど、子役の二人のやりとりって、俺はイメージビデオみたいにしかやってないわけですよ。日本の子役だけで子どもの日常を引っ張っていこうとすると、結構見てられなくなるんですよね。『我々は宇宙人』も、実写だったら結構しんどいだろうなとは思いました。だから俺はなるべく子どものシーンを少なくして、セリフもほとんど喋らせない作りにしてますね。