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重いシーンで役者に必要なのは、リラックスできる楽しい雰囲気。『ジュリアン』グサヴィエ・ルグラン監督【Director’s Interview Vol.18】

重いシーンで役者に必要なのは、リラックスできる楽しい雰囲気。『ジュリアン』グサヴィエ・ルグラン監督【Director’s Interview Vol.18】


 長編初監督ながら卓越した演出力で俳優からリアルで自然な演技を引き出し、世界各国で注目と賞賛を浴びている、映画『ジュリアン』グザヴィエ・ルグラン監督。離婚した夫婦とその子供の家族の関係を描きながら、張り詰めた緊張感が終始途切れず最後まで続き、観る者を圧倒する。今回は来日した監督とジュリアンを演じたトーマス・ジオリア君に話を聞いた。


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日常に潜む恐怖



Q:今回の作品はDVや親権問題など、センシティブで社会性のあるテーマですが、一方でスリラーやサスペンスの要素も強く感じます。その辺はどのようにバランスをとられたのでしょうか。


ルグラン監督:撮影前、DVの被害女性の方にお会いして様々な証言を伺いました。彼女たちの意見を参考に、この映画をどのように作るべきか考えたんです。結果、この映画では、彼女たちが実際に経験した日常に潜む恐怖を描こうと決めました。ハリウッドのホラー映画のような大掛かりなスリラーではなく、リアルに日常生活の中の恐怖を描きたかったんです。そして、その張り詰めた恐怖感をどのように表現するかというのが、今回の挑戦でした。




Q:被害女性だけによった見方ではなく、いろんな視点で撮られてるように感じました。


ルグラン監督:ご指摘の通り、この映画は様々な視点で撮られています。そこには観客に客観的な立場で見て欲しいという意図があります。映画の冒頭、家庭裁判所で判事と話すシーンがあるのですが、父親と母親で意見は食い違い、どちらが本当のことを言っているのかまるでわからないと思います。この客観的で中立である判事と同じ立場を、観客にも求めたんです。


Q:DVは家庭内の問題だからか、当事者も第三者もなかなか警察に通報するまではできないように見えました。


ルグラン監督:そうですね。危険な状態を見て見ぬふりをするよりも、通報するほうが良いのですが、実際には非常に難しいところです。実は、夫のアントワーヌの行動は端から見ると普通なんです。最初は、週末に子どもに会いたいという要求、その次は子どもと話したい、そしてパーティーでプレゼントを渡したい。と、これについては誰も咎めることができないし、通報もできないんです。もちろんそれがアントワーヌの狙いではあるんですが。




たとえもし、そういう状況の中で通報したとしても、証拠がなければ警察は何も動けないんです。実際に劇中のセリフでも、ジュリアンの姉が「もし警察に言ったとして、証拠がなければどうしようもない」と言っています。通報は理想なんですが、実際は難しいんですよね。



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