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デヴィッド・シューリスの魅力的な影【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.17】

デヴィッド・シューリスの魅力的な影【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.17】

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一見温厚そうな顔の下に



 世代的に英国俳優は『ハリー・ポッター』シリーズで覚えてきたように思う。アラン・リックマンやマギー・スミス、ケネス・ブラナー、ゲイリー・オールドマン、ティモシー・スポール、ジョン・ハート、ジュリー・ウォルターズ、エマ・トンプソン、ロビー・コルトレーン、トビー・ジョーンズ、それからレイフ・ファインズ。ビル・ナイも加えたいところだけれど、あのひとは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのデイヴィ・ジョーンズ役からだったかな。リチャード・ハリスも忘れちゃいけない。冒険を繰り広げる魔法使い見習いの子どもたちを、名優たちが支え、ときに立ちはだかる『ハリー・ポッター』は、英国俳優の良い入門になる。なにより個性豊かなオールスターだ。


 そこで気になるのは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で、リーマス・ルーピン先生を演じたデヴィッド・シューリス。かなり印象の強めなキャストの中で、比較的地味で物静かな雰囲気。ルーピン先生というキャラクター自体、顔色が悪くて服はみすぼらしく、くたびれた人物だった。しかし、いざ授業が始まってみるとこれが生徒たちには大変評判が良く、非常に優秀な教師であることがわかる。実際、彼が担当する「闇の魔術に対する防衛術」はシリーズを通して毎回なんらかの理由で先生が変わってしまう呪われた科目だが、歴代教師の中で主人公ハリーが最も信頼したのはこのルーピン先生だった。


 そんなルーピン先生も「防衛術」を受け持った先生たちの例に洩れず、一年間しか教えることはできなかった。その正体は満月の夜に恐ろしい野獣に変身してしまう狼人間だったのである。普段の控えめで温厚なルーピンの人柄とのギャップもおもしろいが、一見普通でありながら、少し(場合によってはかなり)影や闇のある人物というのは、シューリスが演じる他の役にも通じているような気がする。平凡なようでいて実は狼男だったというルーピン役はまさに象徴的だ。



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