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  3. マンチェスターの男は「自分こそが最高で他の連中はクソ」という思想を持っている(笑)『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』マーク・ギル監督【Director’s Interview Vol.29】
マンチェスターの男は「自分こそが最高で他の連中はクソ」という思想を持っている(笑)『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』マーク・ギル監督【Director’s Interview Vol.29】

マンチェスターの男は「自分こそが最高で他の連中はクソ」という思想を持っている(笑)『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』マーク・ギル監督【Director’s Interview Vol.29】


女性だけが見抜いていた、モリッシーの輝きや本質



Q:主人公スティーヴンは極度に内向的ですが、内向的な割にはタイプライターの前では雄弁ですよね。これは、ふだんはモジモジしているのにSNS上では威勢のいい現代人にも重なりますが、それは意識されましたか?


ギル:確かに、現代の若者に通じる部分はある。失敗するのは怖いことだからね。タイプライターに向かっているとき、今なら端末に向かってツイートしているときは、いくらでも大きなことが言えるけれど、いざ現実の世界に放り出されると誰でも委縮してしまう。


 僕は大学で講師をしていたことがあるけれど、「質問はある?」と訊いても誰も挙手しないんだ。皆、人前で恥をかきたくないんだろうね。思うに、スティーヴンのNME(※New Musical Express イギリスの音楽雑誌/週刊新聞)の投稿は自分の見せたい自分の姿であって、それは現代ならツイッターやインスタに投稿される、自分よって編集された自分の姿なんだよ。自分で編集できるのだから失敗はないし、ある意味安全地帯ではあるけれど、誰でもいつかは編集されない生身で現実と対峙しなければならない。この映画のスティーヴンにしても、人の目を見てコミュニケーションをとることは避けられないんだよ。




Q:この映画ではスティーヴンを正しい方向に導くのはすべて女性ですね。アンジー、リンダー、母親。そこには何か意図があるのでしょうか?


ギル:まず、彼の人生をたどると必然的にそうなった。周囲の女性たちはスティーヴンの中にある優れた資質を見抜いていて、だからこそサポートしていった。サポートの仕方はそれぞれだ。アンジーは直球で、リンダーは彼にインスピレーションをあたえ、母親は無償の愛をあたえた。思うに、男という生き物は女性がいなければ迷子になるものなんじゃないかな。




 僕にしても、妹や叔母、姪のように支えになってくれる人がいて、彼女たちにしか話せない僕の暗部がある。そういうセクシャリティの役割について考えると、現代の男性が# Me tooムーブメントによって自分の性の在り方を改めて考えなければいけないという状況は良いことだと思う。古代のメソポタミア文明やエジプト文明にしても、現代以上に女性の存在は大きかったわけで、それが歴史上のどこかのタイミングで入れ替わったのはモテない男たちの陰謀だったんじゃないかと思うことがあるよ(笑)。



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