オードリー基金の運営こそが受け継がれる重要なミッション
Q : お母さまは戦争を生き抜いた自信と同時に、生き延びたことで一種のサバイバルギルト(自分だけが助かったことに対する罪悪感)を感じられていたのでしょうか?
ルカ: 両方があったと思います。そのバランスがとても難しかったのではないでしょうか。今年2019年4月15日にアメリカで発売された評伝"Dutch Girl"には、今まであまり触れられることがなかった母の戦争体験の中でも、特にレジスタンス運動に加担した14歳から16歳までの出来事が克明に綴られています。
私は、まさにその3年間がオードリー・ヘプバーンという女性の根幹を作ったのだと確信しています。戦争がいかに愚かな行為か!?本書のテーマでもあるそのメッセージは、特に今の時代にこそ有効なのではないでしょうか。
Q : あなたは現在、お母さまの遺志を継いで1994年に設立された"オードリー・ヘプバーン・チルドレンズ・ファンド"の代表を務めています。最後にその目的を教えて下さい。
ルカ : ユニセフの仕事を受けた時、母は初めて自分の女優としての知名度を利用したと言いました。だから、私もこうして母にまつわる仕事を積極的にお受けして、そこで得た資金を基金の運用に還元できるよう努力しているわけです。母の遺志を継ぐという意味で、今、これが最も重要なことなのです。
ルカ・ドッティ
1970年2月8日、スイス、ローザンヌ生まれ。母親はオードリー・ヘプバーン、父親はローマの精神科医、アンドレア・ドッティ。義兄はショーン・ヘプバーン・ファーラー。オードリー・ヘプバーン・チルドレンズ・ファンドの現代表で、作家、プロデューサー。
取材・文: 清藤秀人(きよとう ひでと)
アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。
撮影:田形千紘
『BS10スターチャンネル presents オードリー・ヘプバーン映画祭』
開催期間:2019年6月14日(金)~6月16日(日)
https://www.star-ch.jp/audrey-ff
BS10 スターチャンネル「生誕90年特別企画 麗しのオードリー」
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