息子に語り伝えた戦争体験と、そこから学んだ食へのこだわり
Q : オードリーは第二次大戦を果敢に生き抜いた、数少ない人でもあります。そのことをどうあなたに伝えたのですか?
ルカ : 母は真実を語るのがとても上手な人でした。子供にとって少々残酷で、かつ難しい話を、分かり易く、ポジティブに伝えるのが上手だったんです。勿論、戦争中に食料が著しく不足していたり、学校に通うのが困難だったりと、辛い状況下ではあったのですが、母は常に微笑みを絶やすことはなかったといいます。本当ですよ。母は戦争で経験したことを糧にして、前に進んでいこうという徹底した哲学の持ち主だったのです。
Q : 生前、お母さまがどこへ行くのにも、スーツケースの中にスパゲティ・アル・ポモドーロを入れて持ち歩いたというのも、そんな戦争体験から来ているんですよね?
ルカ : そうです(笑)。例えば、ユニセフの親善大使として貧しい国に旅行した時にも、母はスーツケースの中にスパゲティの箱と、オリーブオイルと、バルメジャーノ・レッジャーノは必ず詰めていました。後、缶入りのトマトソースはだいたいどの国でも手に入りますからね。そうして、食べる物がない時は、自分で得意のスパゲティ・アル・ポモドーロを作って食べていたんですよ。
家族旅行する時だって、母のスーツケースの半分は食料品でした。それは、とてもイタリア人的な発想なのですが、同時に、戦時下での食糧不足に起因していました。彼女にとって本当に食料は大事だったんです。食べ物さえあれば、安心するんでしょうね。
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