1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】
『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】

『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】

PAGES


参考にしたのは『ソーシャル・ネットワーク』



Q:過去の映画作品で、「この脚本は面白い!」と感じたものはありますか?


山田:脚本の完成度だけでいうと、すごく高いと思うのは『ギャラクシー・クエスト』(99)。あとは、『ラブ・アゲイン』(11)、その他だと、これは誰も挙げないと思いますが……(笑)、『アメリカン・パイ』(99)の続編である『アメリカン・サマー・ストーリー』(01)です。


Q:明るめな作品が多いですね。意外です。


山田:コメディが昔から好きなんですよ。でも、特に『ギャラクシー・クエスト』と『ラブ・アゲイン』は、伏線が複雑に絡み合って昇華されていく完成度の高さにおいては、誰が観ても間違いないと思います。『アメリカン・サマー・ストーリー』は、続編としての完成度がすごいんですよ。前作を観てから観ると、望むものがすべて入っているんです。


Q:個人的には、本作を観て『ソーシャル・ネットワーク』(10)を思い出しました。テンポ感、音楽、カメラワーク等々……。


山田:『ソーシャル・ネットワーク』は参考にしすぎてちょっとパクリなんじゃないかという部分もあるから、恥ずかしい……(笑)。穴があくほど観ましたね。



Q:おお! そういう部分があったので、同作の脚本家アーロン・ソーキンがお好きかな?とは思っていました。彼もロジカルに物語を組み立てる方ですし。


山田:アーロン・ソーキンも好きですね。『ソーシャル・ネットワーク』と『マネーボール』(11)の影響も受けています。


Q:そういったロジカルな脚本術は、ニューヨーク大学で学ばれたのでしょうか?


山田:もともとロジカルなものが好きだったのか、ニューヨークに行ったからそうなったのかは自分ではわからないのですが、思えば学生時代からエンターテインメントを作ろうとはしていましたね。学生映画って、そうならないことが多いじゃないですか。


Q:そうですね。どうしても半径数百メートルの話になりがちとは聞きます。


山田:そうそう(笑)。僕は人と逆を行こうとする癖があって、それもあってエンタメに振っていましたね。


©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ


Q:なるほど、だから『AWAKE』でも「エンタメ」という柱が出来上がったんですね。


山田:そうですね。なかなか映画祭向きじゃないよな、とは思いますが……。


Q:でも、このエンタメ性の高さは、観客からするとカタルシスがとてもあるかと思います。ちなみに、監督はニューヨークから帰国後、映画会社に勤めて買い付けも経験されていますよね。そういったスタッフ側の経験が、監督を務めるうえでも生きてきた部分はあったのでしょうか。


山田:演出においてはなかったかと思いますが、「こういう理屈で出来ている」をわかっているぶん、身の振る舞い方は他の人より知っているかもしれないですね。


スタッフワークをわからない監督のほうがいい、という世界観もあるから、そこはなかなか善し悪しがあるかとは思いますが……(笑)。ただ、今回においては、僕は楽しかったですね。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】