渡米時代に学んだ「フロアプラン」を採用
Q:監督の映画作りへのアプローチで面白いなと感じたのは、「衣装さんやメイクさんに役者の様子を聞く」という部分です。
山田:ああ!(笑) みんなやらないのかな、あれは超大事だと思いますよ。衣装部やメイク部を敵に回したら、その現場は殺伐とすると思う(笑)。
Q:(笑)。それは今回が初めてではなく、いつも実践されていることなのでしょうか。
山田:そうですね。映像ディレクターの仕事のときも、やるようにしています。
ただ、映画じゃないと1日とかで終わるので、そんなに役者さんが「疲れた……」となることはないんですよ。でも、映画では役者さんと過ごす時間も増えますし、その辺の見極めも必要になってくるんですよね。
あと、衣装さんもメイクさんもモニター前に集まるから、話す機会は増えるんです。それもあって、仲良くしておかないと……。
Q:モニターで言うと、若葉さんは自分からモニターチェックに来るタイプだと伺いました。
山田:そうですね。若葉くんははっきりそういったタイプです。吉沢くんはそんなに見に来なかったかな。
©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ
Q:それぞれの違いが出ていて、面白いですね。そのほか、山田監督の中で「絶対にこれはやる」というアプローチなどはありますか?
山田:今回においては、商業デビュー作だったこともあって、事前に全部決めていきました。カット割りもそうですし、絵コンテも作りましたし、パワーポイントでフロアプランというものを作りました。
フロアプランというのは、役者の配置と動線の想定を書いて、カメラをどこに置いて撮るか、の見取り図です。昔アメリカで映画を撮ったときに、カメラマンから教えてもらいました。
そういったものを全部用意していって、現場で段取りの確認やテストを行って、改めて考え直して……。ものすごく準備はしていきましたが、「これはいるけどこれはいらないな」というものも見えたので、次回作を撮る機会があれば、違うアプローチをしたいなとは思っています。
Q:その辺りの取捨選択も、今回試したということですね。
山田:そうですね。こだわり自体はあんまりなくて、何が最善かを探っていった感じではあります。カットを割るのが好きなので、カット割りの数自体は多かったようには思います。