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『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】

『AWAKE』吉沢亮の魅力を引き出した、新鋭・山田篤宏監督の“研究期間”【Director's Interview Vol.102】

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新型コロナウイルスの予期せぬ蔓延によって、甚大な被害を被った2020年の映画界。しかし、悪いニュースばかりではない。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)の大躍進や『スパイの妻<劇場版>』(20)のヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞もそうだが、もうひとつは、新進クリエイターの活躍が目立ったこと。日本映画界の次代を担う才能の台頭は、未来を照らす希望といえるだろう。


12月25日に劇場公開を迎える『AWAKE』も、そんな希望を抱かせる1本だ。AI将棋を題材にした本作は、2017年に開催された「第1回木下グループ新人監督賞」のグランプリ受賞作(ちなみに、準グランプリに輝いたのは『人数の町』)。


幼少期から棋士を目指し、奨励会に入った清田英一(吉沢亮)。彼は、プロ入りがかかった大事な対局で同世代の天才・浅川陸(若葉竜也)に敗れ、棋士の夢を諦めてしまう。だがその後、英一はコンピュータ将棋の世界にのめり込み、開発者として陸との“リベンジマッチ”に挑む――。


夢に敗れた青年が“復活”を果たすさまを描いたエモーショナルなドラマは、「将棋映画」というジャンルを超えて、観る者の心に勇気をともすだろう。吉沢亮・若葉竜也の圧倒的な演技はもとより、映像面でも、洗練されたカメラワークやカラーリングで、非常に“今風”な内容に仕上がっている。


泥臭くも、スタイリッシュな青春映画――そんな快作『AWAKE』を作り上げた山田篤宏監督は、1980年生まれの40歳。上智大学を自主退学して単身渡米し、ニューヨーク大学で映画を学んだ後、日本の映画会社勤務を経て乃木坂46のMVを撮るなど、異例のキャリアの持ち主。早くも次作が楽しみな山田監督に、クリエイティビティの源泉をじっくり伺った。


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他の将棋映画との違いは、主人公がプロではないこと



Q:山田監督がnoteに掲載されている裏話エッセイ( https://note.com/yamadaatsuhiro )が非常に面白く、楽しく拝見しています。その中で語られていたことですが、将棋が好きだったからこそ、この題材にたどり着いたそうですね。


山田:いち将棋ファンとして、2015年の電王戦(棋士と将棋プログラムの対決)がすごくドラマティックだなと思っていたんですが、ただそれを人に伝えるにはとても時間がかかってしまうんですよね。


面白いから映画化したいという気持ちと、映画というフォーマットが人に伝えやすいという両方の気持ちから、脚本を書き始めました。



©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ


Q:今お話しいただいたような意識があったからこそ、本作では「わかりやすさ」を念頭に置いたとお聞きしました。また、英一と陸だけではなく、将棋を愛する人々を多角的に描いているため、観る側が共感できるポイントがとても多い。


山田:そのように観ていただけたなら、とても嬉しいです。


意識的に行ったことではないのですが、他の将棋映画と違うのは、主人公がプロではないということ。そのため、英一の周りに将棋好きを置きすぎると、将棋を知らない人には伝わらないと思い、あえて抜きました。その代わり、将棋は知らないけれど、プログラミングを通して仲間になってくれる磯野達也(落合モトキ)たちを入れたんです。


逆に陸のほうは、奨励会員を含めた将棋の世界の人たちを描いて、バランスを取りましたね。


Q:お話を伺っていると、ロジカルにキャラクターを配置して書かれたのではないかな?と思ったのですが、いかがでしょうか。


山田:そうですね、ロジカルに考えるのが好きです。発想自体は感覚的ですが、こういうキャラクターが面白いんじゃないかなと考えてから、入れていきますね。


Q:山田監督は、どうやって文章力を培われていったのでしょうか。


山田:文章には結構自信があって、自分の文を読み返すのが実は好きです(笑)。


僕はずっと「映画を作りたい」しか思っていなかったから、昔からまとまった文章を書くときは脚本でした。後は、ネット好きなので色々なブログを読み漁り、書き方を学んでいったところはありましたね。




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