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鬼才・三池崇史が映画史上に残る傑作時代劇をリメイク
『十三人の刺客』(10)は、将軍の弟君である明石藩藩主がとにかく残虐非道なロクデナシで、このままでは世の中に災いが及ぶから暗殺せよとの密命を受けた侍が、13人の刺客団を率いて大名行列を襲撃するアクション時代劇だ。
なんといっても見どころは、山中の宿場町で延々50分間にわたって繰り広げられる壮絶なクライマックスバトル。刺客はたった13人、対する明石藩の一行は300人。まともにぶつかって勝てるわけがない。そこで役所広司扮する島田新左衛門は、知略を尽くし、罠を仕掛け、一か八かの大博打に賭けた上で、最後は正攻法で“斬って、斬って、斬りまくる”のだ。
監督は日本映画界の鬼っ子・三池崇史。常識やぶりな作風とバラエティ豊かすぎる多作っぷりでなかなか評価の定めづらい人物だが、監督らしい破天荒さを失わずに王道のエンタメを突き進んだ『十三人の刺客』の完成度はピカイチで、最高傑作に推す声も多い。
もともとは工藤栄一監督が1963年に発表した同名の東映映画がオリジナルで、三池監督版はリメイクになる。1990年には仲代達矢主演でテレビドラマ化もされ、2012年には舞台版も上演されているなど、半世紀にわたり繰り返し語り直されているのは、オリジナルが掛け値なしの傑作だったからに他ならない。実際に三池版と観比べるとオリジナルに忠実なシーンの多さに驚く。偉大なオリジナルへのリスペクトの証なのだろう。