2017.10.23
肩肘張らないジェームズ・ガンの演出術
『GOG:R』はその名の通り銀河を舞台にヒーローたちが活躍するSFアクション大作なのだが、ジェームズ・ガン監督の軽妙な演出ポイントが随所に散りばめられており、SF大作の重さを感じさせない「軽さ」がこの映画の大きな魅力を形作っている。
冒頭のオープニングシーンしかりで、映像テクニック満載の「画」に対してポップチューンを当ててみたり、ガーディアンズたちに一斉攻撃してくる無人機の遠隔操作席がまんま「ゲームセンター※」だったりと、必ずと言っていいほど上手く「外し」てくるのがツボにはまってしまうのだ。少なくとも映画を見ている間中、最初から最後までずっと笑いが絶えなかったかもしれない。
(※実際の無人機からは怒涛の機銃攻撃が行われているのに、遠隔操作席では「ピコピコ」と80年代ゲームセンターの効果音がなっている。。)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(C) 2017 MARVEL
しかし、この映画のジャンルを「コメディ」の枠にとどまらせないのは、巨額の予算をかけたマーベルならではの揺るぎないコンセプトが根幹にあるからであろう。そのどっしりとしたコンセプトをしっかり踏まえつつも、自分なりユーモアのエッセンスを上手く機能させているジェームズ・ガンの手腕はかなりのものだと思われる。そして暴走しがちなアクの強いキャラクターたちをまとめ上げて、ちゃんと心に刺さるエピソードまでも入れてくるのは心憎い。
2作続けてここまでの大ヒットを牽引できたことを考えると、すでに巨匠の域まで来ているのかもしれない。ジェームズ・ガン。未来の巨匠の先物買いの意味でも、ぜひ『GOG:R』を楽しんでみてほしい。
文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
(C) 2017 MARVEL