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『エターナル・サンシャイン』愛の記憶を呼び覚ます「忘れられない恋人」

『エターナル・サンシャイン』愛の記憶を呼び覚ます「忘れられない恋人」

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公開から時を経ても愛され続ける傑作



 観たことのない映像、懐かしい胸の痛み。こんな恋愛映画には、生涯出会えない。


 何年経っても僕の中に在り続ける、忘れられない恋人のような作品だ。


 ケンカした恋人クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が、「記憶除去手術」を行ったと知ったジョエル(ジム・キャリー)。なぜ彼女は、自分との記憶を消してしまったのか? 苦悩と逡巡の末、ジョエルは自らも手術を受けるが、恋の痛みも甘さも到底消したくない大切な記憶だと気づき……。


 2005年に日本公開された本作は、ゼロ年代の映画を語る際に確実に名前が挙がる傑作。叶わぬ恋を経験した全ての人が思う「記憶を消したい」を映像化するというアイデア、記憶の中を描いたユニークな映像表現、のちの超A級キャストが織りなす演技のハーモニー、ポスタービジュアルやカラーリングも斬新で、まさに「創造性しかない」映画だ。



 2005年に開催された第77回アカデミー賞授賞式では、『アビエイター』『ホテル・ルワンダ』『Mr.インクレディブル』『ヴェラ・ドレイク』という社会派作品を抑え、脚本賞を受賞。


 完全に創作で、しかも賞を取りにくいラブストーリーである本作が受賞したのは、圧倒的な独創性に因るものだろう。


 その物語を構築したのは、名脚本家チャーリー・カウフマンだ。『マルコヴィッチの穴』(99)でオスカーノミネートを果たし、『ヒューマン・ネイチュア』(01)、『アダプテーション』(02)、『コンフェッション』(02)と奇抜な作品を次々と創生。スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、ジョージ・クルーニーといった新たな映像界の旗手たちと組み、ゼロ年代以降のカルチャー映画の基盤を作っていった。



 それらの経験を経た上で製作された本作は、従来の「遊び」は保ちつつ、初めてちゃんと「普通の人々」を描いた勝負作。これまではクセが強すぎたため敬遠していた大衆の心理も、がっちりと掴んだ。


 監督は、映像派として知られるミシェル・ゴンドリー。デヴィッド・フィンチャーやスパイク・ジョーンズと同じく、ミュージック・ビデオやCMのディレクター出身だ。『人生はビギナーズ』(10)のマイク・ミルズ、『(500)日のサマー』(09)のマーク・ウェブ等、MV系監督は映画ファンからの支持が厚いが、その法則を作った一人でもある。


 物語的な面白さと、映像的な新鮮さの融合。さらに、大衆に届く共感性と普遍性。すべてを備えた本作は、目新しさを求める若者から玄人ぞろいのオスカーまで幅広く魅了し、公開から15年以上を経ても愛され続けるマスターピースとなった。



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