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『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する

(C)2017 Twentieth Century Fox

『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する

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『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじ

1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。


Index


日本の作品で育んだ怪獣愛



 基本的に映画監督は「オタク」であるが、ギレルモ・デル・トロほど、その形容詞が似合う監督はいないだろう。メキシコ出身のギレルモは、少年時代に色白でスポーツも好きではなかったため、テレビが友達だった。とくに魅了されていたのは、日本の怪獣モノだった。メキシコでも放映されていた「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「鉄人28号」「マグマ大使」などに心底、夢中になり、とくに「鉄人28号」が大好きで、「子供の時に高熱でうなされると、夢の中で鉄人がカメラに向かって飛んでくる。そこで僕は目が覚めるんだ」と楽しそうにその思い出を語っていた。そのほかにも「ジャングル大帝」「リボンの騎士」といった手塚治虫作品や「コメットさん」などに“洗脳”され、ギレルモ・デル・トロは映画監督になったのである。


 『パシフィック・リム』では「鉄人28号」など日本のロボット作品からの影響がありありと見られたうえ、敵のKAIJUの造形にしても「本田猪四郎さんや円谷英二さんを心から尊敬しているので、スーツアクターの腕や脚が感じられる“着ぐるみ”感を意識した」と、CGを使っているにもかかわらず、アナログの怪獣愛を込めていた。巨大なハサミをもったKAIJUを、なぜか「オニババ」と命名するなど(新藤兼人監督の『鬼婆』がヒント)、もうやりたい放題の状態であった。


『パシフィック・リム』予告


 『ヘルボーイ』の主人公にしても、原作のコミックではポニーテールのようだった頭部を、日本の侍のチョンマゲに変更。相撲の力士を意識したうえに、日本の侍の精神に敬意を表して三船敏郎のスタイルにしたと、ギレルモは告白していた。



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