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『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する

『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する


クリーチャーを表現する世界最高の俳優



 半魚人のシルエットには、ギリシャの神々の彫刻が意識された。さらに目の大きさや位置などの微妙な違い、色調が模索されてデザインが完成すると、今度は各パーツが専門家に託される。半魚人の目の部分を担当したのは、『ヘルボーイ』でもエイブ・セピアン(同じく水棲のキャラクター)の目を手がけた日本人特殊メイクアーティストの辻一弘。半透明の膜を何層も重ねることによって、宝石のような輝きを放つ目が誕生し、動きにはCGが使われている。結局、デザインのスタートから完成まで、じつに3年の歳月が費やされた。


 もちろん重要なのは、半魚人の動きである。口のきけないヒロインが恋をする相手であり、観客の心もつかまなくてはならない。目の動きのような細部にはCG.が入っているものの、基本は特殊メイクとスーツによるため、俳優ダグ・ジョーンズの才能にかかっていた。ダグはギレルモ・デル・トロ作品には欠かせない存在で、前述の『ヘルボーイ』のエイブ・セピアンや、『パンズ・ラビリンス』の羊のような頭部のパンと、手のひらに目玉がついたペイルマンの2役、『クリムゾン・ピーク』では幽霊役を演じている。長身のクリーチャーを任せたら、第一人者だ。




 水棲生物が陸上に上がったら、どんな動きをするのか? そのあたりはダグ・ジョーンズに一任され、まるで水中を漂うような優美な身のこなしが全編に貫かれている。水槽のガラスに手のひらを押し付けるシーンなどは、その動きが明らかに人間と異なっており、細部まで半魚人の習性が表現された。ギレルモが最も気を遣って演出したという半魚人とヒロインのラブシーンは、すでに半魚人を愛してしまった観客にとって、美しい輝きを放つことだろう。そして半魚人と「映画」がつながるあるシーンで、ギレルモ・デル・トロのモンスター愛と映画愛が究極点で化学反応を起こし、観客は激しく心を揺さぶられるのである。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 



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(C)2017 Twentieth Century Fox

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