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『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する

『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロが生み出した、奇怪なのに美しいクリーチャーはこうして完成する


日本の浮世絵からギリシャ彫刻まで幅広い影響



 こうした怪獣やモンスターへの異様ともいえる愛情は、単にオタク的な嗜好だけでなく、彼らが抱える「悲しみ」にも起因しているという。「西洋文化ではモンスターが人間の敵として描かれる。しかし日本では妖怪や怪獣が文化に根付いて、愛されるキャラクターにもなっている。単純にそのパワーや美しさに畏怖を感じるんだ」と、ギレルモはその理由を説明する。そんなモンスター愛は、新作『シェイプ・オブ・ウォーター』にも凝縮された。1962年、東西冷戦下のアメリカの研究所に運ばれて来たのは、アマゾンに棲息していた半魚人のような生き物だった……という物語だ。




 この半魚人のクリーチャーには当然、ギレルモのこだわりが発揮されるわけだが、『パシフィック・リム』のKAIJUをデザインする際も、大好きな日本の怪獣キャラをあえて意識せず、オリジナリティを追求したと彼は主張していた。今回の半魚人も、有名な1954年の『大アマゾンの半魚人』が当然のごとく比較対象になる。ギレルモは、デザイナーたちとともに、あの有名な半魚人のイメージを意識的に頭から取り払って作り上げたという。


 ギレルモ・デル・トロのデザインや映像設計では、過去の映画にオマージュを捧げつつも、このように直接的な引用を避ける傾向があるのだ。むしろ絵画や彫刻、文学など他のジャンルから最適な要素を持ってくることが多い。『シェイプ・オブ・ウォーター』の半魚人には、葛飾北斎の「鯉」が参考にされた。浮世絵のタッチで描かれた魚のウロコを、半魚人の皮膚に移植したのである。黒とイエローという色のバランスも参考にしたという。この浮世絵に関しては、『パシフィック・リム』での海上アクションでも、ギレルモは視覚効果スタジオのILMに「北斎の有名な『神奈川沖浪裏』の波を再現してほしい」と注文している。この「神奈川沖浪裏」は『シェイプ・オブ・ウォーター』でもヒロインの住むアパートの壁の石膏にうっすらと模写されていたりするのだ。



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