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『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット

(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.

『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット

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『パシフィック・リム』あらすじ

深海から突然、出現した巨大で凶暴なエイリアン“KAIJU”。それは何年にもわたって何百万もの人命を奪い、人類の資源を消耗していく戦いの始まりだった。巨大なKAIJUと戦うため、人類は特殊な兵器を開発。“イェーガー”と名づけられたその人型巨大兵器は2人のパイロットが同時に操縦する。彼らは操縦前に、神経ブリッジを通して互いの脳を同調させる“ドリフト”というプロセスを経て戦闘態勢に入るのだ。最初は優勢だったイェーガーだが、KAIJUは出現のたびにパワーを増していき、その容赦ない襲撃の前に、人類は対抗できなくなっていく。いよいよ滅亡の危機に瀕し、人類を必死に守っている者たちに残された選択肢はただ1つ。疲れきって一度はパイロットをやめた男(チャーリー・ハナム)と、実戦経験のない新人(菊地凛子)という、ふつうなら考えられない2人がコンビを組み、旧式のイェーガーで戦うことになった。彼らは、迫りくる滅亡を食い止める人類最後の希望としてKAIJUに立ち向かう。


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嬉々として製作を進めるオタク監督



 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)のマイケル・ドハティ監督や、その前作『GODZILLA ゴジラ』(14)のギャレス・エドワーズ監督のように、日本の「怪獣」に魅せられて自作にその愛を爆発させたクリエイターがいるが、その元祖といえば、やはりギレルモ・デル・トロだろう。『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)でアカデミー賞監督賞に輝き、今や「世界の巨匠」となったギレルモだが、その根本が究極のオタクであることは誰もが知るところだ。


 ギレルモの怪獣愛が炸裂したのは、もちろん『パシフィック・リム』(13)。太平洋(パシフィック)の深海から姿を現した巨大生命体に対し、環太平洋(パシフィック・リム)の国々が、人類が開発した「イェーガー」という巨大ロボット型兵器を使って立ち向かう物語。公開当時、日本人を驚かせたのは、相手となる生命体が「KAIJU」という総称で呼ばれていた点だ。モンスターではなく、あくまでもKAIJU=怪獣。ギレルモ・デル・トロの怪獣愛が伝わってきた。



『パシフィック・リム』(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.


 『パシフィック・リム』が公開されたのは2013年の夏だが、同年4月、ロサンゼルスのワーナー・ブラザースのスタジオの一角で、ギレルモ・デル・トロはプロダクション・オフィスを構え、最終仕上げを行なっていた。


 ギレルモのオフィス内の壁にはぎっしりとコンセプト・アートが貼られていた。イェーガーもKAIJUも、当然のごとくCGで映像化されるのだが、そのデザインへのこだわりは格別のようで、公開までの急ピッチな作業が進む時期にかかわらず、ギレルモの説明には異様なほどの喜びと興奮が込められていた。


 まずはイェーガーのメインキャラである、ジプシー・デンジャー。ブレストファイアーや、ロケットパンチを思わせる攻撃も繰り出す機能は、あのマジンガーZのパクリとも思えるほどだが、ギレルモの説明はこうだ。



『パシフィック・リム』(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.


 「ジプシー・デンジャーの初期デザインでは、ジョン・ウェインが演じる西部劇のガンマンをイメージした。アメリカのロボットということで、エンパイア・ステート・ビルやクライスラービルなどNYの摩天楼の建築デザインも利用している」



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