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四大怪獣の激突を描く『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に見る“ゴジラ愛”とは

(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

四大怪獣の激突を描く『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に見る“ゴジラ愛”とは

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※2019年6月記事掲載時の情報です。


『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』あらすじ

『GODZILLA ゴジラ』から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする未確認生物特務機関・モナークの活躍を描く。この単なる伝説にすぎないと思われていた古来の圧倒的な力をもつ生物たちが再び目覚め、世界の覇権をかけて争いを始めたとき、全人類の存在すらもが危ぶまれてゆく。


Index


全編に溢れかえった“日本製ゴジラ”の片鱗



 ゴジラ生誕65周年を迎える今年2019年、怪獣王ゴジラが再びスクリーンで咆哮する。本作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)は、怪獣王ゴジラを筆頭に、火山の翼獣ラドン、自然の守護者モスラ、そして“モンスターゼロ”ことキングギドラが一堂に会す、超大作である。先史時代の四大怪獣が猛り狂う本作は、まさに“地球最大の決戦”といったところだ。



『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.


 ギャレス・エドワーズ監督の前作『GODZILLA ゴジラ』(14)は、日本における原子力発電所の倒壊事故と、周辺地域の封鎖という場面を挿入し、リアリティに満ちたシリアスな背景を用意。怪獣王の設定には、大戸島に伝わる海神“呉爾羅(ゴジラ)”の逸話と、度重なる水爆実験によって覚醒したとする出自を付与した。これは初代『ゴジラ』(54)の設定を引き継ぐもので、前作はこのようなリスペクトを感じさせてくれた。


 このような下敷きの上で今作は、日本の東宝ゴジラの精神がさらに増幅し、まさしく全編にわたって鼓動している。日本製ゴジラへの愛は、前作以上に確固たるものとなった。それは、今作におけるゴジラのデザインを指しても、だ。今作でのゴジラは、前作のデザインを踏襲しつつ、背びれは初代『ゴジラ』の造形を再現し、足をすこし太く設定した。全体的な容姿は、前作『GODZILLA ゴジラ』のイメージを崩すことなく、初代ゴジラとの融合を見せ、手がたくリファインされている。



『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.


 また、今作で特筆すべきは劇中スコアであろう。『シンクロナイズドモンスター』(16)『クローバーフィールド・パラドックス』(18)などで近年注目を集める作曲家ベアー・マクレアリーは、『ゴジラ』シリーズには欠かせない、伊福部昭の“あのテーマ曲”をアレンジし、怪獣激突のバトル・シーケンスで大胆に響かせている。加えて、古関裕而の作曲による名曲「モスラの歌」までが、作中のある印象的なシーンでゆるやかに旋律しているのだ。



『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.


 また、本作のエンドロールの最後には、ある日本人ふたりの名前がクレジットされている。ひとりは『ゴジラ対へドラ』(71)の監督で、本作の製作総指揮を務めた坂野義光、もうひとりは初代『ゴジラ』ほか昭和シリーズでゴジラのスーツアクターを務めた中島春雄だ(どちらも2017年に故人となった)。この映画は、伊福部昭の名曲で贈るエンドロールと、ロールの最後に記したふたりへの献辞とともに幕を閉じる。まさに映画の“ゴジラ愛”はエンドロールにまで溢れかえっているのだ。



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