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『her/世界でひとつの彼女』恋人はAI(人工知能)!? 現代人の孤独に優しくタッチする近未来SFの傑作

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『her/世界でひとつの彼女』恋人はAI(人工知能)!? 現代人の孤独に優しくタッチする近未来SFの傑作

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『her/世界でひとつの彼女』あらすじ

そう遠くない未来のロサンゼルス。ある日セオドアが最新のAI(人工知能)型OSを起動させると、画面の奥から明るい女性の声が聞こえる。彼女の名前はサマンサ。AIだけどユーモラスで、純真で、セクシーで、誰より人間らしい。セオドアとサマンサはすぐに仲良くなり、夜寝る前に会話をしたり、デートをしたり、旅行をしたり・・・・・・一緒に過ごす時間はお互いにとっていままでにないくらい新鮮で刺激的。ありえないはずの恋だったが、親友エイミーの後押しもあり、セオドアは恋人としてサマンサと真剣に向き合うことを決意。しかし感情的で繊細な彼女は彼を次第に翻弄するようになり、そして彼女のある計画により恋は予想外の展開へーー!"一人(セオドア)とひとつ(サマンサ)"の恋のゆくえは果たしてーー?


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ディストピアSFとは異なる「ポジティヴな未来像」



 いつの頃からだろう。近未来SF映画といえば、お先真っ暗のディストピアものばかり作られるようになったのは?


 もちろんSFの世界観は現在の危機感の延長で創造されるものである。環境破壊や格差社会など、不安材料が満ちあふれた今の世界を考えれば仕方がないのかもしれない。ただ筆者はこれから先、楽しんで生きていくための想像力が刺激される、ポジティヴな未来像を提示するSFが大好き。


 その個人的な原点となったのが、22世紀からひみつ道具をたくさん持ったネコ型ロボットがやってくる『ドラえもん』だ。2015年のハイテクな未来にタイムスリップする『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(1989年/監督:ロバート・ゼメキス)にも10代の頃夢中になった。


 そして近年――21世紀ではほぼ唯一、このリストに加えてもいいと思うのがスパイク・ジョーンズ監督のユニークな傑作『her/世界でひとつの彼女』(13)である。少なくとも、すっかり紋切り型となったディストピア像とはまるで異なる、良い意味で楽観的な近未来のヴィジョンが展開されている。


『her/世界でひとつの彼女』予告


 映画の舞台になるのは、そう遠くない未来と設定されたロサンゼルスの街。摩天楼で埋め尽くされ、乗用車は姿を消し、地下鉄でビーチにもアクセスできる。生活者に優しい都市空間の設計が目指され、より便利なテクノロジー・サービスが実現した快適な社会。


 本作でアカデミー賞美術賞にノミネートされたK.K.バレット(スパイク・ジョーンズとはCMやMVでも仕事している盟友)は、何百もの現代建築の画像を参照。なるべく実在する場所での撮影にこだわって、上海の浦東地区でもロケーションを行い、中国と南カリフォルニアの景色を特殊効果で織り交ぜた。そのため、まるで今の時代の先端的なランドスケープに上塗りを繊細に重ねたような、美しくリアリティのある近未来の風景が広がっている。



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