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『メッセージ』観る者すべての感覚をアップデートする、ドゥニ・ヴィルヌーヴが緻密に仕掛けた鮮烈なメッセージとは
『メッセージ』あらすじ
突如地上に降り立った巨大な宇宙船。謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――。
Index
- 主人公ルイーズの内面の変容とともに、観客も“進化”を体験する
- テーマに関わる2つのキーワード「サピア=ウォーフの仮説」「非ゼロ和ゲーム」
- 時間感覚のアップデートに貢献した製作チーム
- エイミー・アダムスの奥深い名演は二度見必見!
- 傑作SFが贈る“メッセージ”とは
主人公ルイーズの内面の変容とともに、観客も“進化”を体験する
2018年1月現在50歳のドゥニ・ヴィルヌーヴは、長編監督作としては10作目となる2017年10月公開の『ブレードランナー 2049』で高い評価を得るとともに興行面でも上々の成績を収め、予算規模が1億ドルを超える超大作でもしっかりリクープ(製作費回収)させる大物監督の仲間入りを果たした。しかし意外なことに、『ブレードランナー 2049』の前にヴィルヌーヴが監督した本格的なSF映画はわずか1本しかない。それが今回取り上げる『メッセージ』だ。
人間とレプリカント、真の人間はどちらか!?SFの裏に隠れたテーマ『ブレードランナー2049』
『メッセージ』© 2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.
地球に突然やってきたエイリアン「ヘプタポッド」の目的を探るため、独自の言語体系を持つ彼らとの意思疎通を図ろうと、言語学者ルイーズが奮闘する姿を描く『メッセージ』の魅力は、観客の感覚をアップデートしてくれるような知的興奮に満ちていること。ルイーズは苦労の末にヘプタポッドの表意文字を徐々に理解し始め、その過程で彼女自身の感覚にも変化が訪れる。映画の中に巧妙に組み込まれた仕掛けが明らかになり、ルイーズの身に起きた変容を真に理解するとき、観る者も驚きとともに新たな視座を獲得した喜びを味わうのだ。