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『2001年宇宙の旅』を70mmプリント、IMAXデジタルで鑑賞する意義とは?
『2001年宇宙の旅』あらすじ
人類がまだ見ぬ宇宙の領域に足を踏み入れた宇宙飛行士ボーマン(キア・デュリア)は、不滅の存在へと昇華していくのだろうか。「HAL、進入口を開けろ!」という悲痛な願いと共に、無限の可能性に満ちた未知への旅を始まる。
Index
- フィルムでよみがえるキューブリックのマスターワーク
- 70mmというフィルム規格は、どのようにして生まれたのか?
- 『2001年宇宙の旅』が70mmで製作された理由
- オリジナル形式にのっとったプリント上映、大型スクリーンを再現するデジタルIMAX
- 実現が待たれる「スーパーシネラマ」方式での再上映
フィルムでよみがえるキューブリックのマスターワーク
今年2018年はスタンリー・キューブリックの偉業ともいえるSF叙事詩『2001年宇宙の旅』(68)の公開から50年が経つ。それを記念して米ワーナー・ブラザースは、『ダンケルク』(17)の監督クリストファー・ノーラン協力のもと、新たに65mmカメラネガから70mmプリントを作成した。このバージョンは5月におこなわれたカンヌ映画祭での披露を起点に、今夏ニューヨークやサンフランシスコ、トロントほか5館のセレクトされたIMAX劇場での公開を経て、北米の70mm劇場などで順次に上映されている。
日本でも10月6日〜7日、11日〜14日までの6日間、70mmプリントの映写が可能な「国立映画アーカイブ」で計12回上映されることが発表され、全日程の前売り券が販売開始から数分で完売になるなど、本作の圧倒的な人気のほどを物語っている(各回、当日券の発行あり)。
『2001年宇宙の旅』(c)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.
しかし今回上記の上映が、なぜここまで我々の琴線に触れるのか?それは1978年のリバイバル以来となる、オリジナルフォーマットでの公開だからだ。『2001年宇宙の旅』はこのリバイバル以降、70mmから縮小した35mmプリントか、あるいはDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)に変換したデータでの上映が主となっている。そんな現状での70mm再公開は、同作のもっとも純粋な上映形式に立ち戻るという価値を有している。なにより商業映画のスクリーン投影がDCPにとって代わられた現在、フィルムプリントによる上映自体が希少性の高いイベントといえるだろう。
ちなみに『2001年』が国内で最後に70mm上映されたのは、筆者の知る限りだと1991年。「全作品70mmプリント上映」というプログラム編成による、大阪・梅田OS劇場の「OSさよならフェスティバル」が最後となる(筆者もその最終興行で『2001年』を観たが、後日「月刊イメージフォーラム」(ダゲレオ出版)に載った内山一樹氏の鑑賞記によると「35mmプリントを70mmに拡大したデュープ(複製)プリントでは?」と上映時のコンディションから推察されており、自分も氏と同じ見解を抱いている)。