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『ダークナイト』IMAXフィルム撮影を劇映画に取り入れたノーランの野心とは

©2014 Warner Bros. Entertainment Inc.

『ダークナイト』IMAXフィルム撮影を劇映画に取り入れたノーランの野心とは

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『ダークナイト』あらすじ

ゴッサム・シティーに、究極の悪が舞い降りた。ジョーカー(ヒース・レジャー)と名乗り、犯罪こそが最高のジョークだと不敵に笑うその男は、今日も銀行強盗の一味に紛れ込み、彼らを皆殺しにして、大金を奪った。この街を守るのは、バットマン(クリスチャン・ベール)。彼はジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)と協力して、マフィアのマネー・ロンダリング銀行の摘発に成功する。


それでも、日に日に悪にまみれていく街に、一人の救世主が現れる。新任の地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)だ。正義感に溢れるデントはバットマンを支持し、徹底的な犯罪撲滅を誓う。資金を絶たれて悩むマフィアのボスたちの会合の席に、ジョーカーが現れる。「オレが、バットマンを殺す」。条件は、マフィアの全資産の半分。しかし、ジョーカーの真の目的は、金ではなかった。ムカつく正義とやらを叩き潰し、高潔な人間を堕落させ、世界が破滅していく様を特等席で楽しみたいのだ。


遂に始まった、ジョーカーが仕掛ける生き残りゲーム。開幕の合図は、警視総監の暗殺だ。正体を明かさなければ市民を殺すとバットマンを脅迫し、デントと検事補レイチェル(マギー・ギレンホール)を次のターゲットに選ぶジョーカー。しかし、それは彼が用意した悪のフルコースの、ほんの始まりに過ぎなかった……


Index


大きな可能性を求めて導入されたIMAXフィルム撮影



 クリストファー・ノーランが無類のIMAX好きであることは、作品全体の7割以上をIMAXカメラで撮影した『 ダンケルク』を例に取るまでもなく、多くの映画ファンに知られていることだろう。IMAXといっても現在主流になっているデジタルのIMAXではない。そもそもIMAXは、70mmフィルム(フィルム幅が70㎜)を横に使うことで、従来の35㎜フィルムより約8倍の情報量/高画質を実現したフォーマットで、ノーランはこの70㎜フィルムを使った撮影と上映に執着にも似たこだわりを持っているのだ。



『ダークナイト』©2014 Warner Bros. Entertainment Inc.


 ノーランが自作に初めてIMAXを取り入れたのが、ノーランによるバットマン映画の第二弾で、ジョーカー役を怪演したヒース・レジャーにオスカー像をもたらした『ダークナイト』だった。フィルムならではの質感と他の追随を許さない高画質を誇るIMAXだが、撮影機材が巨大で重量があり、また、一度に3分程度しか回せない、ポストプロダクションも高価であることなどから劇映画の現場ではあまり使われず、IMAX専用シアター向けの短編や中編、とりわけ大自然や宇宙などの教育系ドキュメンタリーに重宝されていた。ところがノーランは、IMAXに大きな可能性を感じており、『ダークナイト』で初めて劇映画の撮影に本格的に導入したのである。



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