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『ダークナイト』ノーランの現実主義的アプローチをさらに推し進めたIMAX撮影

(c)Photofest / Getty Images

『ダークナイト』ノーランの現実主義的アプローチをさらに推し進めたIMAX撮影


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ノーランが初めてIMAX撮影を取り入れた野心作



 クリストファー・ノーラン監督の代表作『ダークナイト』(08)が、現在IMAXシアターでリバイバル上映されている。ノーランがIMAXの、それもフィルム使ったアナログのIMAXに惚れ込んでいることは有名な話で、戦争映画『ダンケルク』(17)では全体の約75%をフィルム用IMAXカメラで撮影している。


 そんなノーランが初めてIMAX撮影に手を出したのが『ダークナイト』。故ヒース・レジャーが悪役ジョーカーを怪演し、アカデミー賞助演男優賞に輝いた“バットマン映画”の一本だが、ノーランが取り組む映像革命の見地からも重要な作品であることは、以前に別記事でも書かせていただいた。


 しかし、ノーランが望んだIMAXフォーマットでの『ダークナイト』上映は、かつて大阪の天保山にあったIMAXシアターで貴重なプレミア試写会が行われたことはあったものの、一般の観客には観ることが叶わない状況が長らく続いていた。今回のIMAXでの上映はもはや一つの事件だと言える。



 技術的な話をするとキリがないので、少々乱暴ながら端的に説明すると、IMAXは画面がデカい。特にフィルムのIMAXの映写サイズに対応している「IMAXレーザー/GTテクノロジー」のスクリーンは、腰が抜けるほどデカい。そして通常の映画よりも縦に長い。数値にすると縦横比は1:1.43で、印象としては限りなく正方形に近くなる。そしてこの縦横比で巨大なIMAXスクリーンいっぱいに映写できる施設は、現在の日本には109シネマズ大阪エキスポシティと東京・池袋のグランドシネマサンシャインの二館しかないのである(ただしフィルムではなくデジタル上映)。


 そしてこの二館にある「IMAXレーザー/GTテクノロジー」のスクリーンで鑑賞すると、壁一面を覆う超巨大スクリーンのおかげで観客の視界いっぱいに映像が広がり、フレーム(枠)という感覚が失われる。この“フレームからの解放”こそがIMAXが本来持っているフルパワーの効果だと言っていい。


 もちろん他の映画館でも、縦横比1:1.43の映像自体を映すことはできるかもしれない。しかし縦に長い映像を映すと左右が大きく空いてしまうことになる。せっかくのIMAX映像が、普通の映画よりも小さく映写されてしまうのだ。


 上記の二館以外の従来のIMAXデジタルシアターでも「IMAXレーザー/GTテクノロジー」に近い効果は得られるが、縦横比は1:1.9と縦が狭く、本来の映像よりも上下が切られてしまうのである。


 ちなみに通常の劇場のスクリーンに比べて、「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の1:1.43の縦横比は上下の情報が約40%多い。つまりIMAX撮影されたシーンでは、ノーランが映したかった画面の半分近くが「IMAXレーザー/GTテクノロジー」でなければ見られないのだ。



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