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『ダークナイト』ノーランの現実主義的アプローチをさらに推し進めたIMAX撮影

(c)Photofest / Getty Images

『ダークナイト』ノーランの現実主義的アプローチをさらに推し進めたIMAX撮影

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ついにIMAX版『ダークナイト』を目撃!



 御託はこれくらいにして、実際にグランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTで鑑賞してきたので、その体験をレポートしたい。


 2時間32分の上映時間で、IMAXカメラで撮影され、縦横比1:1.43のガチのIMAXサイズになるパートは合計して26分ほど(全体の約17%)。その多くは、冒頭の銀行強盗シーンを除くと、屋外のアクションシーンが多い。これはIMAXカメラが従来のカメラよりも巨大で重量があるため、狭いところでは取り回しができないという理由が大きいだろう。


 まず正直なところを言うと、自分のように繰り返して『ダークナイト』を観てきた人間にとって、フルのIMAXサイズに戸惑いを覚えるのではないだろうか。縦横比が異なるふたつのサイズの画面が切り替わるということもひとつの理由だが、IMAX撮影のシーンの印象がガラリと変わっているからだ。




 先にも述べた通り、IMAX撮影は、観客にフレームを意識させることなくシーンの中に没入させる効果がある。一方で、これまでにわれわれが観てきた『ダークナイト』は縦横比1: 2.39のワイドスクリーンの画面だった。そして『ダークナイト』は、審美的な意味でワイドスクリーンの映像が非常に美しく構成された作品だったのである。


 例えば映画の冒頭。ジョーカーの手下が隣のビルから銀行の屋上へと侵入しようとする空撮映像は、横長のワイドスクリーンでありつつもフレームの外の広がりを感じさせる名ショットだった。また、ジョーカーが街角に佇む背中越しのショットや、銀行内に入ってからの映像も非常に美的に構築されている。ところがフルのIMAXサイズになったことで、ワイドスクリーンの稀有なバランスが崩れたように感じてしまうのだ(実際にはIMAXカメラで撮影したものを後からトリミングしているのだが)。


 つまり『ダークナイト』に親しんできた人ほど、フレームから限りなくフレームレスになったIMAXサイズのシーンには違和感を覚えるはず。しかし観ているうちに、自分たちは銀行強盗の様子を外から眺めているのではなく、その現場に居合わせているのではないかと感じるようになる。フレームの存在を感じなくなるということは、従来の映画鑑賞とはまったく異なる映像体験なのである。



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