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『her/世界でひとつの彼女』恋人はAI(人工知能)!? 現代人の孤独に優しくタッチする近未来SFの傑作

『her/世界でひとつの彼女』恋人はAI(人工知能)!? 現代人の孤独に優しくタッチする近未来SFの傑作


快適なユートピアの中の、現代人の孤独



 とはいえ、その中で描かれるのは決して明るい物語ではない。ビタースウィートな「都市生活者の孤独」である。


 ホアキン・フェニックス扮する主人公のセオドアはライター業。他人に替わって家族や恋人に手紙を書くという、代筆業サービスを営んでいる。そんな仕事成り立つの!?と一瞬面食らうが、デジタル化の反動でアナログ趣味が流行しているというのは、確かにあり得る話かもしれない……と思わせる状況設定が絶妙。例えば音楽配信が定着する一方で、ヴァイナルレコードやカセットテープがお洒落アイテムになったような現象の応用だろう。


 そんなセオドアは離婚調停中で別居している妻への想いに苦悩している。顧客には心温まる文面を提供しながら、自分はシングルライフの寂しさを噛み締めているこの皮肉。同じマンションに住む友人のドキュメンタリー映画作家、エイミー(エイミー・アダムス)は彼に知り合いの独身女性を数人紹介するが、何度デートしても気が合わず、ますます落ち込むばかり。




 確かにいくら「ポジティヴな未来像」であっても、人間の実存の問題は容易に解決されるものではない。電車の中で全員がイヤホンをつけて個別の世界に浸っている――現在でもよく見られる日常の情景を、この映画はひんやりとしたタッチで映し出す。スパイク・ジョーンズ監督も、セオドアの孤独を描くに当たり、むしろ舞台としては洗練された心地良いユートピアを用意するのがふさわしいと思ったと語っている。



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