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実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

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※2019年6月記事掲載時の情報です。


『アラジン』あらすじ

ダイヤモンドの心を持ちながら、本当の自分の居場所を探す貧しい青年アラジンが巡り合ったのは、王宮の外の世界での自由を求める王女ジャスミンと、 “3つの願い”を叶えることができる“ランプの魔人”ジーニー。果たして3人はこの運命の出会いによって、それぞれの“本当の願い”に気づき、それを叶えることはできるのだろうか──?


Index


進化していく女性像



 ガイ・リッチー監督の実写版『アラジン』(19)は、従来の“プリンセス(王女)像”に鋭くメスを入れている。近年のウォルト・ディズニー作品を観ると、登場するヒロインの女性像の捉え方に大きな変化を感じるハズだ。同社の古典アニメーションにおけるプリンセスの描かれ方は、長年にわたり反復していた。運命的な男性キャラクターの出現と、その男性キャラクターの助力による幸福。女性は自分の人生を自ら切り拓こうとはぜず、運命の王子様が現れるのを待つのみ。こうした女性キャラクターの受動的な映し出しは、フィクションにおけるプリンセスの枠を飛び越え、現実の女性全般のステレオタイプとして現在まで刷り込まれてきた。



『アラジン』(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


 しかし、昨今のディズニー作品では、このステレオタイプな女性像に変化が生じている。同社の映画における女性キャラクターの人生は、男性キャラクターの登場によって左右されてきたが、近年は、自分の意志で自分の人生を切り拓く、進化系のプリンセスが増え始めている。しかも最近の作品『モアナと伝説の海』(16)では、“王子様”という存在自体が完全にオミットされている。同作では強くたくましい女性像を前面に押し出したのだ。


 原作のアニメーション『アラジン』のジャスミン王女は、こうした進化型プリンセスの元祖といえる。彼女は自らの自由を求めて、王宮の外に飛び出すのだ。自分を変えてくれる運命の王子様をただ待つだけの女性ではなかった。本作、実写版『アラジン』では、さらなる進化を遂げた新生ジャスミン王女が描かれた。


 ナオミ・スコット扮する実写のジャスミン王女は、男性不在における自律したプリンセス像を新たに授けられ、時代に即したキャラクターとして生まれ変わっている。この意欲的なアップグレードに貢献したのが、巨匠アラン・メンケンの新曲「スピーチレス~心の声」だ。実写版のために書き下ろされた新曲は、女性の自律と、古く腐った固定観念の破壊をテーマに掲げている。原作のアニメーションには存在しないこの新曲によって、ジャスミンというキャラクターはより大きな存在としてスクリーンに現われる。彼女が力強く歌う場面では、従来のプリンセス像を真正面から粉砕し、女性本来の強さと賢さをアピールしている。進化に進化を重ねた新生ジャスミン王女は、この時代に必要とされている存在なのだ。



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