1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. アラジン
  4. 実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは
実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

PAGES


アラジンというキャラクター



 本作『アラジン』は、プリンス(王子)としての男性キャラクターにも大きな変革を促している。従来のディズニープリンスは、由緒ある家系にルーツを持つイケメン王子と相場が決まっていた。しかし本作の主人公アラジンは、市井に生まれ育った自由気ままな青年だ。幼いころに両親を亡くしたアラジンは、自分の本当の居場所を見つけられないまま、城下町を放浪する生活だ。窃盗で得た小物を売りさばき、生計を立てている。まるでプリンスとは思えない出自だ。このダメな“プリンス像”は、現在も『アナと雪の女王』(13)のクリストフなどといったキャラクターに引き継がれている。


 アラジンの描かれ方は原作のアニメーションに準拠している。アニメーション版公開当時としては、アラジンのプリンス像は非常に前衛的で、かつ新しい設定だったことだろう。普通の家系に生まれ出て、盗みの能力には長けるが、周囲からは煙たがられる存在だ。しかし、多様性の受け入れに寛容となった現代、こうしたアラジンのような軌道を外れたプリンスこそが、いま再び求められているハズだ。




 この居場所のないプリンスに居場所を与える存在となったキャラクターこそが、王家出身のジャスミン王女だ。居場所を失った人物の前に、王家の人物が現われるという意味で、本作『アラジン』は、いわば『シンデレラ』(50)の逆パターンとして観ることができる。


 古典アニメーションの実写化を続けるディズニーが、なぜこのタイミングで『アラジン』を選んだのか。この問いに対する答えこそが、アラジンというキャラクターの設定にあるのだ。理想としてのプリンス像をあえて踏み外したアラジンと、時代に合わせて進化を重ねたジャスミン王女。ジェンダー間の格差問題や、女性の権利向上、多様性の受け入れ等々の課題によって揺れ動く現代。ディズニーが放つ実写版『アラジン』は、こうした複雑な世界へのアンサーが詰まっている。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. アラジン
  4. 実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは