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実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

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実写版『アラジン』が描く、新たな時代のディズニープリンセスの描き方とは

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実写リメイクで蘇る、不朽の名作アニメーション



 長編アニメーション映画の実写リメイクと言えば、昨今のウォルト・ディズニーを支える主力コンテンツだ。名女優アンジェリーナ・ジョリー主演の映画『マレフィセント』(14)は、不朽の名作『眠れる森の美女』(59)の実写リメイクだ。同作に登場する悪役の魔女マレフィセントを主役に、彼女の知られざる一面を描き出している。同作は、『アナと雪の女王』に似た、男女の愛とはまるで異なる、普遍的な“家族愛”を表現している。王子による「真実の愛のキス」はまったく機能せず、呪いに倒れたオーロラ姫は別のかたちの愛によって目を覚ますのだ。


 田舎町の美しき娘と、呪いに苦しむ野獣との恋愛模様を描いた実写版『美女と野獣』(17)では、冒頭のミュージカルシーンを含めて原作アニメーションを綿密に再現している。この再現度の高い実写版『美女と野獣』のメガホンをとったのは、同性愛者であると公言したビル・コンドンだ。本作の実写版では、俗にいう“LGBTQ”といったセクシュアリティに関する改変が見て取れる。作中には同性愛を感じさせるキャラクター描写が存在し、同性愛者である監督の独自カラーが作品の隅々にまで反映されている。また、原作には登場しない黒人キャラクターの追加を脚色したりなど、アメリカに根差した人種問題にもメッセージを投げかけている。



『アラジン』(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


 そして、この度の実写版『アラジン』では、フェミニズム的な女性の描き方を追求し、先述したように、ジャスミン王女の女性としての賢明さを映し出している。ウォルト・ディズニーの実写リメイク映画群は、実写での原作再現という単純な課題を超越し、現代のフォーマットに合わせた高度なリメイクを完成させてしまっている。ディズニーの今後の実写リメイクには『ライオン・キング』『ムーラン』が控えている。果たして、どのようなアップグレードを見せてくれるだろうか。今から楽しみである。



文: Hayato Otsuki

1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「リアルサウンド映画部」など。得意分野はアクション、ファンタジー。



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『アラジン』

2019年6月7日(金)全国公開

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


※2019年6月記事掲載時の情報です。

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