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『ポリーナ、私を踊る』目標を探し、アーティストは国境を超えていく
映画のテーマを体現する日本人ダンサーの存在
「ポリーナが本当に踊りたいことを追求する姿。そして家族が支えてくれる関係に100%共感できます」と語るのは、『ポリーナ、私は踊る』に登場する。日本人ダンサーの津川友利江だ。
『ポリーナ、私を踊る』で共同監督を務めているアンジュラン・プレルジョカージュは、世界的に有名なフランスの振付家。彼が主宰する「バレエ・プレルジョカージュ」に所属する津川が、劇中でプレルジョカージュの振付作品「白雪姫」の主役を踊っているのだ。そのステージを観た主人公のポリーナが、コンテンポラリー・ダンスに開眼する。短い登場シーンながら、ひじょうに重要なパートを任されていると言っていい。
『ポリーナ、私を踊る』特別映像
津川も、ポリーナと同じように自国を出てフランスに渡った。ポリーナの運命に心から共感するのは自然なことである。
「どこかに所属していても、必ずダンサーは他の可能性を模索しています。私はフランスのカンヌのバレエ学校に入ったのがきっかけで、クラシックバレエだけでなくコンテンポラリー・ダンスの道が切り開けました。プレルジョカージュのオーディションも“思い出作り”という感覚で受けたら、合格してしまって」と津川が語るように、ポリーナのように偶然の出会いがアーティストの未来を切り開くのは、日常のことなのだ。
現在、津川はバレエ・プレルジョカージュとはフリー契約となり、より自由な表現活動にシフトしているという。日本での公演も頻繁に行えるようになったようで、先述のセルゲイ・ポルーニンもそうだが、国境を超えて新たな表現を学びつつ、その場所で「快適さから抜け出せなくなってしまわないように次のステップへ向かう」(津川談)ことで、アーティストは進化し続ける。ポリーナの物語も、そこが観る者の心を打つ。
津川友利江さん