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『ポリーナ、私を踊る』目標を探し、アーティストは国境を超えていく

(C)2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema

『ポリーナ、私を踊る』目標を探し、アーティストは国境を超えていく

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ダンサーよりも運と努力が左右する俳優の活躍



 いっぽうで、言語による表現が重要になる「俳優」という職業が、国境を超えていくのは容易ではない。でも、だからこそチャレンジのしがいがあるというものだ。


 このパターンの近年の成功例といえば、間違いなく渡辺謙だろう。『ラスト サムライ』でアカデミー賞助演男優賞候補となり、その後も『硫黄島からの手紙』、『インセプション』、『GODZILLA ゴジラ』のような大作から『追憶の森』のようなインディペンデントの作品まで、ハリウッド映画に次々と出演。ブロードウェイでは「王様と私」で主演を務めるなど、世界マーケットにおける日本人俳優の代表の地位を固めた。渡辺謙の場合、身長の高さも有利だった。


 同じようなパターンが浅野忠信で、『マイティ・ソー』シリーズや『バトルシップ』、『沈黙 -サイレンス-』などこちらも話題作に出演。彼の場合は、アメリカ映画以外での活躍もめざましい。渡辺も、浅野も、アメリカ映画に出始めた頃は、じつはそれほど英語が得意ではなく、もちろん日常的な英語のレッスンを受けつつも、作品ごとに集中的にトレーニングを行っていた。日本での仕事も多い彼らなので、これは仕方のないことだろう。


 しかし彼らと違うアプローチをとった俳優がいる。真田広之だ。拠点をロサンゼルスに移し、あくまでもハリウッドでキャリアを積み上げようとした彼は、英語を完璧に習得。渡辺謙に比べると身長が低いせいもあって、活躍するまでに時間を要した。しかし努力の甲斐あって、近年は映画やTVシリーズで重要な役をゲット。『アベンジャーズ』の最新作に出演する可能性もささやかれている。


 ダンサーと違って、俳優の場合、実力だけでは夢がかなわない場合も多い。しかし本心から自分の可能性を試したいと国境を超えた人には、やがて夢の扉が開くこともある。


 ポリーナと真田広之を重ねるのは強引かもしれないが、『ポリーナ、私を踊る』は、母国を離れて夢を追いかける人に、職業を超えてエールを送る作品でもあるのだ。



『ポリーナ、私を踊る』(C)2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 


作品情報を見る


『ポリーナ、私を踊る 』

配給:ポニーキャニオン 

(C)2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema


※2017年10月記事掲載時の情報です。

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