(C)2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema
『ポリーナ、私を踊る』振付家が映画監督になるとき。異業種監督の成功の秘訣とは
ファッション界からも名監督が生まれる
ここ数年、舞台作品をそのまま映画館で上映したり、DVDなどにソフト化して世に出すケースも増えている。振付家にとっても、自作がどう映像になるかにこだわることも多くなってきた。そうした映像化へのプロセスが、彼らの映画監督への欲求をかき立てる部分があるかもしれない。プレルジョカージュも、今回の映画を撮る前から、振付作品のDVDではカット割りやアップなどに細かく気を配ってきたという。
こうした他職種か映画監督への進出では、これまでの業績からの過剰な自信によって、時として独りよがりの失敗作につながる危険もはらむ。冒頭で記したクリエイターの中にも、そんな例があったのも事実。『ポリーナ、私を踊る』のように、経験のある監督と共同で演出することで、その危険は少なくなる。
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そのほか、映画界以外から監督に進出した最近の特殊な例では、ファッションのデザイナー、トム・フォードがいる。1作目の『シングルマン』に続き、2作目の『ノクターナル・アニマルズ』も成功作として受け入れられた。フォードの場合、単純に作品を観て、デザイナーの監督作だとは思わない人もいるはず。もちろん細部に至るまで美的センスに溢れた作品ではあるが、一本の映画として破綻のないような作りになっているからだ。そのうえで、これまでの映画の方程式を覆すようなスタイルを追求している。他業種から進出した映画監督が成功する「見本」と言っていいだろう。
文: 斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。
『ポリーナ、私を踊る 』
配給:ポニーキャニオン
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※2017年10月記事掲載時の情報です。