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『ロード・トゥ・パーディション』アカデミー賞監督サム・メンデスの辣腕が光るギャング映画の魅力

(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ロード・トゥ・パーディション』アカデミー賞監督サム・メンデスの辣腕が光るギャング映画の魅力

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ファミリーの絆と葛藤を体現した名優たちのアンサンブル



 俳優陣に目を転じると、まずトム・ハンクスをサリヴァン役に起用した点が上手い。人間味のある役を得意とする彼にとって、マフィアの殺し屋役はイメージから程遠いが、理性的な家庭人の側面に軸足を置いたことにより、プロに徹する殺し屋像にも説得力が宿った。いつもより笑顔が少ない、難しい表情が味。なお、当初、脚本にはバイオレントな惨殺シーンがあったというが、ハンクスは撮影監督のホールとともに、これは必要ないと主張し、メンデスを納得させたという。



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 サリヴァンをアカデミー賞俳優が演じるとなると、ボスのルーニー役には相応の貫禄のある役者が必要だが、名優ポール・ニューマンならば申し分なし。当初から製作者側は彼を第一候補に挙げていたという。彼もまた、ファミリーを愛する大らかさや、信頼できる友人サリヴァンと対立した苦悩、そしてマフィアのボスとしての鋭さを体現。9度目のアカデミー賞ノミネート(助演男優賞)となった本作は2008年に世を去った彼にとって、最後の実写出演映画となった。


 ジュード・ロウ、ダニエル・クレイグの英国人俳優たちの好演も光った。前者は、ルーニーがサリヴァンを殺害するために雇った殺し屋役で、原作にはない映画オリジナルのキャラクター。髪を頭部の半分まで剃り上げたルックスもさることながら、みなぎる狂気を表現して凄みを見せつける。また、後者はルーニーの不肖の息子コナー役に。物語的にはヴィランの立場ではあるが、父への愛情の渇望を匂わせ、人間味を匂わせる。当時無名だったクレイグは、これによってハリウッドでも注目され、スター街道を歩んでいく。



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 サリヴァンと息子、ルーニーとコナーの二組の親子は、ともに愛情で結ばれた大きなファミリーであった。それがある事件によって対立を余儀なくされる悲劇。そして二組の親子には、それぞれ葛藤があり、絆がある。メンデス作品の多くは家族関係をテーマにしているが、本作はそれをもっともドラマチックに扱った作品であり、心を揺さぶる映画である。家族の絆が物語を面白くするエピソードとして機能していた『1917 命をかけた伝令』が高評価された今、改めて見直してみてはどうだろう。



文: 相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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『ロード・トゥ・パーディション』

20世紀フォックス

ブルーレイ 発売中 ¥1,905+税

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