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『シザーハンズ』衣装デザインに秘められた、登場人物の心理とは ※注!ネタバレ含みます。
※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。
『シザーハンズ』あらすじ
丘の上の広い屋敷に年老いた発明家が住んでいた。彼はたった一人で人造人間エドワードを作っていたが、完成間近に急死。エドワードはハサミの手のまま取り残されてしまった。化粧品のセールスで屋敷を訪れたペグは気の毒に思い彼を家に連れて帰る。エドワードはそこでペグの娘キムに恋してしまうが……。
Index
名作の誕生から30周年を経て
この名作の誕生から2020年で30周年。確か、私の生まれた地元では『ホーム・アローン』(90)と同時上映され、中学生だった筆者は『ホーム・アローン』目当てで劇場に足を運んだのに、映画が終わる頃にはすっかりあのハサミ男の虜になっていた。あの頃、20代だったジョニー・デップも今や50代半ば。マコーレー・カルキンも40歳を超える。どうりで私も歳をとったわけだ、としみじみ思う。
懐かしの名画を紐解くことは、どこかタイムカプセルを開けるのと似ている。本作との久々の対面に自分はどんな思いをよぎらせるだろう・・・ドキドキしながら映画が始まる。最初に映し出されたのは、雪降る「20世紀フォックス」のロゴマーク。今やディズニーの買収によってその名称とロゴも様変わりしたのを思うと、なんだかこの時点で無性にジーンとしてしまった。
『シザーハンズ』予告
本編を見ながらハッとすることも多い。“ママ役”が名女優ダイアン・ウィーストだったり、“キムのボーイフレンド”役が『ブレックファスト・クラブ』(85)のアンソニー・マイケル・ホールだったことにも懐かしさがこみ上げた。また、“パパ役”が『リトル・ミス・サンシャイン』(06)でアカデミー賞助演男優賞を獲得したアラン・アーキンだったなんて、過去の鑑賞時にはこれっぽっちも意識したことがなかった。
時代は巡り、記憶はゆっくりと曖昧になっていく。しかし面白いもので、あのハサミ男の鮮烈な印象は微塵も変わっていない。彼だけは、色あせることなく、相変わらず両手をチョキチョキ鳴らしながら独特すぎる存在感を放ち続けていた。あの忘れ得ぬラストシーンから現在に至るまで、あの城の中で時が止まったままの30年間が、ずっと続いていたかのようだ。