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『シザーハンズ』衣装デザインに秘められた、登場人物の心理とは ※注!ネタバレ含みます。

(C)2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『シザーハンズ』衣装デザインに秘められた、登場人物の心理とは ※注!ネタバレ含みます。

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ハサミが触れるものと衣装の柄が呼応し始める時



 エドワードとキム、住む世界のまったく違う二人の気持ちの変移は、衣装に注目すると分かりやすい。


 やがて、中盤で事件が起こり、事情を知るエドワードがキムの関与を一切明かさなかったことで、彼女は彼の純真無垢な心に触れ、うっとりとした瞳で彼を見つめるようになる。そして次に挿入されるワンシーン。庭のバラを丹精込めて剪定するエドワードを、背後からそっと見つめるキムの姿がある。注目したいのは彼女の着ている服だ。描かれているのは、これまた無数のバラをあしらった柄。まるで二人の心がすでにこのあたりから一つに重なり合っていることを示しているかのようだ。


 この必然は一度では終わらない。続いて注目したいのは、クリスマスの夜、エドワードが庭先でハサミを駆使して氷の彫刻を作り出す名物シーン。彼が付近に真っ白な雪を舞い散らせる中、キムが身につける衣装もまた雪の結晶のような真っ白いドレスである。くるくると踊る彼女の笑顔も相まって、本作は多幸感とロマンチックなムードに包まれていく。しかしそれも長くは続かない。



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 2度あることは3度あると言うが、本作の3度目は哀しい。モンスターを追い詰める”たいまつ”のような真っ赤な服を着た住民たちが大挙する中、城の内部では真っ黒なレザーファッションに戻ったエドワードと、同じく真っ黒な革ジャン姿の恋敵アンソニー・マイケル・ホールが最終対決に臨む。


 そしてエドワードのハサミが血に濡れるとき、キムの真っ白なドレスもやはり同じく真っ赤なに染まる。これは1度目、2度目とは違う、決定的な別れのサイン。二人の気持ちは同じなのに、愛し合っているが故に、彼らは別離を決意しなければならないのである。


 だが、ラストには幻のともしびのように、もう一度だけ、彼らの姿が映し出される。そこではエドワードがそのハサミで真っ白な雪を舞い散らせ、若きキムが着るのはやはり雪の結晶のような真っ白なドレス————。心の重なり合ったこの記憶を胸に、彼らは何十年と年月を重ね、これからもそれぞれの場所で、彼らなりの愛の形をずっと抱きしめ続けるのだろう。


 誕生から30周年。これは悲哀であるとともに、永遠に終わることのないラブストーリーとも言えるのかもしれない。



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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『シザーハンズ』

製作25周年記念コレクターズ・ブルーレイBOX〔初回生産限定〕

価格:5,980+税 

20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

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