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『アウトサイダー』「ヤング・アダルト」の流行に乗り、「ブラット・パック」の原点に。

『アウトサイダー』「ヤング・アダルト」の流行に乗り、「ブラット・パック」の原点に。


輩出した数多くのスターたち



 マット・ディロン、パトリック・スウェイジ、トム・クルーズ、エミリオ・エステヴェス、ロブ・ロウ、ラルフ・マッチオ、C・トーマス・ハウエル……。そのすべてがデビュー間もない新進俳優で、『アウトサイダー』がブレイクのきっかけとなったのは紛れもない事実。レイフ・ギャレットのみ音楽界で有名で既に俳優としても活躍し、紅一点のダイアン・レインは『リトル・ロマンス』(79)で認知度があったくらいだ(『リトル・ロマンス』は、アメリカよりも日本で人気だった)。若き才能の発掘という点で、コッポラの眼力には驚く。


 多くのキャストはオーディションで選ばれた。エミリオ・エステヴェスとトム・クルーズは子供時代からの友人で、一緒にオーディションに参加。エミリオの父はマーティン・シーンで、コッポラの『地獄の黙示録』の現場に同行していたエミリオは、伝令を伝える少年という小さな役で出演していた。


 オーディションの形式も独自のものだった。一同に集められた俳優が、与えられたシーンでいくつもの役を交代しながら、進められたのである。その結果、コッポラが個性に合ったキャスティングをしていく。オーディションに参加したものの、選ばれなかった面々も、デニス・クエイド、ミッキー・ローク、サラ・ジェシカ・パーカーと錚々たる顔ぶれ。ロークはその後、コッポラの次の作品『ランブルフィッシュ』(83)で起用される。



 コッポラの甥であるニコラス・ケイジもオーディションを受けたが、ひとつの役にこだわって2週間かけて準備したものの、望む役で合格せず、コッポラから「他の役で再びオーディションを受けろ」と依頼されながら、余力がなくなったという理由で断っている。


 撮影当時、パトリック・スウェイジだけが29歳だったものの、ラルフ・マッチオとレイフ・ギャレットが20歳で、他の多くのキャストは10代。その後、マット・ディロンが『ランブルフィッシュ』、トム・クルーズは『卒業白書』(83)、ラルフ・マッチオは『ベスト・キッド』(84)、ロブ・ロウは『セント・エルモス・ファイヤー』(85)、エミリオ・エステヴェスは『ブレックファスト・クラブ』(85)、パトリック・スウェイジは『ダーティ・ダンシング』(87)と、大スターの地位を確固とする作品に出演することになるのだ。


 ちなみにコッポラの娘、ソフィア・コッポラが、マット・ディロンに小銭がないか尋ねる少女役で、そして原作のヒントンも看護師でカメオ出演している。


 「グリース」と「ソックス」のキャストには、さまざまな「格差」が与えられ、台本もソックス用は革の表紙で、グリース側はペーパーバックのような簡易な装丁。撮影期間中は宿泊のホテルも別々だった。コッポラは2つのグループの間につねに緊張感ある対立関係を与えたかったようだ。


 若いキャストばかりなので、撮影時間以外では彼らがホテルで大暴れするなどトラブルも続いた。トム・クルーズは数年後、そのホテルのスタッフに謝罪したという。




 乱闘アクションも多い作品だったのでキャストのケガも絶えず、エミリオ・エステヴェスは唇を切り、C・トーマス・ハウエルは顔を殴られて目のまわりに真っ黒なアザを作り、トム・クルーズは親指を骨折したうえに、アゴにパンチが入って歯科の治療を受けることになった。


 こうして『アウトサイダー』が一挙に世に送り出した若き俳優たちは「YAスター」と呼ばれるようになり、冒頭に書いた「ブラット・パック」の原点となる。


 このブラット・パックという呼称が使われるようになったのは、2年後の『セント・エルモス・ファイヤー』のあたりで、『アウトサイダー』の面々に、モリー・リングウォルド、デミ・ムーア、ロバート・ダウニー・Jr、アンドリュー・マッカーシー、ショーン・ペンら次々と誕生するスターが、ハリウッドの一大勢力となり、ジョン・ヒューズ作品など青春映画の傑作が量産される。


 ブラット・パックとは直訳すれば、「悪ガキの集団」と、やや蔑称の語感。1950年代のハンフリー・ボガードらを起源に、その後、フランク・シナトラらが形成した「ラット・パック」をもじったものでもある。



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