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『アウトサイダー』「ヤング・アダルト」の流行に乗り、「ブラット・パック」の原点に。

(c)Photofest / Getty Images

『アウトサイダー』「ヤング・アダルト」の流行に乗り、「ブラット・パック」の原点に。

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『アウトサイダー』あらすじ

1965年、オクラホマ州のタルサでは、貧困層の若者グループ「グリース」と、金持ちの若者グループ「ソッシュ」が対立していた。ある日、「グリース」のポニーボーイは、友人と遊びに行ったドライブインシアターで「ソッシュ」の女の子チェリーと出会う。以来彼女に想いを寄せるポニーボーイだが、このことをきっかけで「ソッシュ」と喧嘩沙汰に。2つのグループはやがて悲劇に導かれていく。


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高校生がコッポラに映画化を直訴



 1980年代の初め、それまで聞きなれなかった言葉が、映画界をにぎわせた。「ヤング・アダルト(YA)」と「ブラット・パック」だ。


 アメリカで、10代から20代前半の若者がヤング・アダルトと呼ばれ始め、彼らの思いが込められた、YA小説、YA音楽、YAファッションがひとつのブームを作った。いつの時代も若者は流行を作るものだが、日本ではそこまでこの言葉が一般的になったわけではない。それでも多くのメディアで取り上げられ、新しいカルチャーのムーブメントが形成される雰囲気はあった。


 映画で、そのYAブームの先駆けを作ったのが、1983年の『アウトサイダー』。原作もYA小説としてベストセラーとなり、全米の中高生の3人に2人は読んだという当時の記事もある。原作者のS・E・ヒントンは「アウトサイダー」を15歳で書き始め、16歳で完成。同世代へのアピールが強かったわけだ。


 当然のごとく映画化も熱望され、メガホンをとることになったのが、フランシス・フォード・コッポラである。『ゴッドファーザー』2作(72~74)と『地獄の黙示録』(79)で大成功を収めたコッポラだが、『ワン・フロム・ザ・ハート』(82)が興行的に失敗し、自身のスタジオを売却。起死回生で挑んだのが『アウトサイダー』だった。


『アウトサイダー』予告


 出版社には映画化を求める読者の投書が、多い日には1000通に達したそうで、カリフォルニアのある高校では、ふさわしい監督をクラスの投票でコッポラに決定。彼らがその手紙と原作をコッポラに送った結果、コッポラの心が動いたという。当時、コッポラは「私が若者たちを撮ったのではない。若者と一緒に考え、話し合いながら、ニュータイプの映画を創り出したのだ」と語っている。


 『アウトサイダー』は、1965年、オクラホマ州のタルサを舞台に描かれる。貧困層の若者「グリース」と、金持ちの若者「ソッシュ」。2つのグループがやがて悲劇に導かれる青春群像ドラマだ。


 コッポラ作品とはいえ、冷静にこの映画を評価すれば、大傑作と言えるかどうかは微妙だ。しかし、ハリウッドの歴史を振り返ったとき、この作品ほど「明日のスター」を輩出したケースは珍しい。日本でも1983年、映画雑誌スクリーンの読者ベストテンで1位になったように、スターの原石の魅力が観客を夢中にさせたのである。



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