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『カンバセーション…盗聴…』コッポラが1974年に描いた作品が持つ、現代社会への鋭い警鐘とは

(c)Photofest / Getty Images

『カンバセーション…盗聴…』コッポラが1974年に描いた作品が持つ、現代社会への鋭い警鐘とは

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『カンバセーション…盗聴…』あらすじ

サンフランシスコ。プロの盗聴屋のハリー・コールは広場を散歩している一組の若いカップルを注視する。彼は依頼を受け、カップルの会話をテープに録音していた。長年の経験から“好奇心”を捨て、淡々と仕事をこなすハリー。だが翌日、ハリーは依頼主への疑念から自らのポリシーを破り、録音テープを再生。すると、殺人事件をほのめかす声が記録されていた…。


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巨匠コッポラが本当に作りたかった映画



 巨匠フランシス・フォード・コッポラが1974年に監督した『カンバセーション…盗聴…』は、彼の代表作『ゴッドファーザー』(72)と『ゴッドファーザー PARTⅡ』(74)の間に撮られた作品で、その影に隠れがちだが、コッポラ自身は本作こそが「自分が本当に作りたい映画を形にしたもの」だと明かしている。


 元来、『甘い生活』(60)や『8 1/2』(63)のような50年代後半から60年代前半のヨーロッパの流れを継いだ独創的で個人的な物語に惹かれていた彼にとっては、オリジナル脚本である『雨のなかの女』(69)や『カンバセーション』が本来志向する映画だった。


 コッポラは『雨のなかの女』の直後に本作を撮りたいと考えていたが、オリジナル脚本で資金が思うように集まらなかったために(同時にその頃、ジョージ・ルーカスとともに設立した映画製作会社アメリカン・ゾエトロープ社が1971年に発表した第一弾作品『THX 1138』が興行的に失敗に終わったことも重なった)、この企画を一旦保留にしてルーカスらの勧めで生活のために仕方なく取り掛かったのが『ゴッドファーザー』だった。


 『ゴッドファーザー』の思いもよらぬ大ヒットのために、コッポラはパラマウント社からの資金援助を受けることができ、この作品は実現に至ったのだ。


『カンバセーション…盗聴…』予告


 本作の着想は、1966年、コッポラが27歳ぐらいだった頃、後に『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(80)などを監督するアーヴィン・カーシュナーとの雑談から生まれた。コッポラは、銃の照準器が付いたショットガン・マイクを使えば、遠く離れた群衆の中にいる人の口元に照準を合わせ、その会話を拾うことできると知ったのだ。もしその会話に秘密が隠されていたら?……この装置とモチーフから彼は妄想を膨らませていった。


 プロフェッショナルな盗聴屋ハリー・コール(ジーン・ハックマン)はある日、大企業の取締役からの依頼を受け、雑踏にまみれたユニオンスクエアで密会する若い男女二人組の会話を盗聴する。その中に「チャンスがあれば我々を殺す気だ」という不可解な言葉を聞き取ったハリーは、独自に音声テープの解析を進めるのだった。あのカップルは何者か、その言葉の真意は何なのか、テープを欲しがっているのは誰なのか……ハリーはテープの目的を探るべく、何度も何度も同じ会話を聞き直す。



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