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『カンバセーション…盗聴…』コッポラが1974年に描いた作品が持つ、現代社会への鋭い警鐘とは

(c)Photofest / Getty Images

『カンバセーション…盗聴…』コッポラが1974年に描いた作品が持つ、現代社会への鋭い警鐘とは

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コッポラ独自の美学を達成した映画



 コッポラは、この映画の中で「盗聴」や「監視」という行為を様々な形で見せている。通信監視機器の展示会(実際に催されている場で撮影された)をはじめ、監視モニターや監視カメラ、ハリーに近づくスパイ、相手の声を聞くという意味では電話や懺悔室もそれに含まれるだろう。カトリックであるコッポラは、「(罪を告白する)懺悔室もある意味で盗聴の場であり、人類最古の監視システム」だと語っており、ハリーはそこで自らの感情を露わにする。彼が抱える罪の感覚にはコッポラ自身もまた投影されているのだろう。


 また、この映画では、カメラ自体もところどころで自動式の監視装置のように機能している。カメラは静止したまま、人物が画面からはみ出しても追従せず、しばらく経ってからようやくカメラがその動きを感知し、単なる装置として機械的に働く。映画はフレームを操ることができることを熟知したコッポラは、手法そのものでも「監視」を表現しているのである。



『カンバセーション…盗聴…』(c)Photofest / Getty Images


 コッポラは、映画を構成する9つの基本単位について、仕事場の掲示板に留めていたメモに記していたという。その中には、「キャラクターはその行動によって表現される」「何か事件を起こさなければならない」「観客は登場人物とともに物語に巻き込まれたがっており、その思いをさらに加速せねばならない」などとともに、「ショットは単語となるが、それがセンテンスになればさらによい」とあり、まさに『カンバセーション』はそのコッポラの美学を達成した作品なのだ。



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