Copyright (C) 1974 by Paramount Pictures and The Coppola Company. All Rights Reserved. Restoration Copyright (C) 2007 by Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.TM, (R) & Copyright (C) 2014 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ゴッドファーザー』愛のテーマ。そのルーツから探る、フランシス・フォード・コッポラの思いとは?
『ゴッドファーザー』あらすじ
1947年。マフィアのドン、ビト・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷内で末娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が行われた。コルレオーネ家の一族、「ファミリー」と呼ばれるマフィアの組織の面々ら総勢数百人が会す壮大な挙式だった。邸内の、ブラインドが下ろされた書斎で、タキシード姿の右胸に血のような真っ赤な薔薇を刺したビトが、訪ねてきた友人の嘆願に耳を傾けていた。自分をすがってくる者には愛と権力、知力で十分に報じた。それがドン、(ゴッドファーザー(名付け親))としての義務、尊厳であった。対立するブルーノ・タッタリア(トニー・ジョルジオ)の息のかかった麻薬の売人ソロッツォ(アル・レッティエーリ)が取引の話を持ちかけてきた。ビトは丁重に断ったが、やがてソロッツォは暗殺計画を企てる・・・。第二次大戦から復員したマイケル(アル・パチーノ)は父親の暗殺未遂に強い憤りと怒りを憶え、マフィア社会に身を投じていくのだった・・・・。
Index
映画音楽史に残る名曲は、別の映画からの使いまわしだった!?
映画『ゴッドファーザー』の音楽担当といえばイタリアの名作曲家ニーノ・ロータ。彼のペンによる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」は、ロータの代表的な仕事である巨匠フェデリコ・フェリーニとのコラボから生まれたどの調べよりも、世界中でよく知られ、また愛されている。
あまりにも印象的なフレーズ、タラリタラリラタララリロー(人によって違うだろうが、筆者にはこう聴こえる)は、イタリア製のミュージックホーン(メロディを鳴らせるクラクション)に採用されて、日本の暴走族が使ったこともあり、なにかとネタ的に使われることも多い。生まれたばかりの赤子でもない限り、一度も耳にしたことがないとは言わせない超有名曲である。
マフィア発祥の地シチリア島でも「ゴッドファーザー 愛のテーマ」はまるで国歌のように島中で演奏されている。特に観光地に出没する流しのミュージシャンやストリートパフォーマーは、必ずと言っていいほどこの曲をブッ込んでくる。もちろん「シチリア島=マフィア=映画『ゴッドファーザー』」というイメージを抱いて世界中からやってくる観光客を喜ばせるためだが、そもそもこの曲は『ゴッドファーザー』とは関係のないところで作曲されていた。しかも、シチリア島とは縁もゆかりもない曲だったのだから驚く。
『ゴッドファーザー』Copyright (C) 1974 by Paramount Pictures and The Coppola Company. All Rights Reserved. Restoration Copyright (C) 2007 by Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2014 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
実はロータは、『ゴッドファーザー』よりもはるか以前の1958年、イタリア産のコメディ映画『Fortunella』で同じ主旋律を使っているのだ。ただし『ゴッドファーザー』とは違う陽気なアップテンポに乗せて。つまり「ゴッドファーザー 愛のテーマ」は、同じメロディを使いまわしたリメイクなのである(似たケースに伊福部昭の『ゴジラ』のテーマ曲があるが、その話は余談として脇に置いておく)。
さらに言えば、「ゴッドファーザー愛のテーマ」はシンプルな二つのパターンの繰り返しで成り立っている、ひとつは前述の『Fortunella』でも使われたメロディで、もうひとつは民謡から取られているという。この民謡がシチリア由来なのかどうか、調べているのだがよくわからない。(ただしシチリアの民謡をいくつも聴いていると、むしろ映画冒頭で流れる「ゴッドファーザー・ワルツ」に似たメロディが多いことに気づかされる)