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『ゴッドファーザー』愛のテーマ。そのルーツから探る、フランシス・フォード・コッポラの思いとは?

『ゴッドファーザー』愛のテーマ。そのルーツから探る、フランシス・フォード・コッポラの思いとは?


「愛のテーマ」が『ゴッドファーザー』で果たした役割とは?



 ではなぜ「ゴッドファーザー 愛のテーマ」がこれほどまでにシチリア島のイメージと結びついているのか。『ゴッドファーザー』にはもう一曲、作品全体を象徴するメインテーマがある。前述の「ゴッドファーザー・ワルツ」で、三拍子の曲であることからワルツと呼ばれている。そしてこの二曲を意識しながら映画を観ると、「愛のテーマ」と「ゴッドファーザー・ワルツ」は、ハッキリと用途が分けられているのがわかるのだ。


 実際のところ、『ゴッドファーザー』は、アメリカ拠点のマフィア・ファミリーの物語だ。シチリア島は、ファミリーの首領ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の故郷ではあるのだが、『ゴッドファーザーPART II』で描かれているように、ヴィトーは少年時代にシチリア島を離れてアメリカに移住している。もうひとりの主人公であるマイケル(アル・パチーノ)や兄のソニー(ジェームズ・カーン)ら、ヴィトーの子供たちは全員アメリカ生まれのアメリカ育ちだ。


 ヴィトーもまた、マフィアの本家本元であるシチリアの後ろ盾を得て裏社会でのし上がったわけではない。もともとシチリアの風土や価値観は備わっていたとしても、アメリカに移住した後に、裸一貫から自分のファミリーを立ち上げたのだ。


 しかしマフィア間の抗争でヴィトーの襲撃事件が発生し、報復のために殺人を犯したマイケルは、マフィア同士のツテを頼ってシチリア島に渡って長い潜伏生活を送ることになる。この展開になって初めて、映画の中で「愛のテーマ」のメロディが流れる。シチリアの雄大な景色をバックに。つまりこの曲は、“コルレオーネ一家のルーツ”としてのシチリア島と深く結びついていると言える。



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 さらに同じ旋律は、「アポロニア」というタイトルの変奏曲としても登場する。アポロニアと言えば、マイケルがシチリアで結婚する地元の若い娘の名前であり、彼女との結婚は、母国アメリカに戻れないマイケルが、シチリアの風土にどっぷりと浸かろうとする契機にもなる(不幸にもアポロニアはマイケルの代わりに爆殺されてしまうわけだが)。


 つまり「愛のテーマ」のメロディは、『ゴッドファーザー』に宿るノスタルジックな魅力の源泉である“心の故郷・シチリア”の象徴なのだ。「愛のテーマ」は映画音楽の枠を超えて大ヒットし、歌詞が付けられて数多くの歌手に歌われ、ポピュラーソング化していった。コッポラは『 ゴッドファーザーPART III』で、「愛のテーマ」のシチリア語バージョンを“シチリアの古い民謡”として登場させている。オペラ歌手志望のマイケルの息子が、マイケルたちの前で歌って見せるシーンがあるのだ。


 そして老いたマイケルはその歌を聴いて、アポロニアとの想い出を回想する。つまりコッポラは、ブレることなく、「愛のテーマ」を“心の故郷・シチリア”が醸すノスタルジーの魅惑と結び付けていたのである。



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