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『ローガン・ラッキー』名曲「カントリー・ロード」が誕生した理由と、ソダーバーグ式犯罪映画術の意外な関係
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2017年は「カントリー・ロード」の当たり年か?
アカデミー賞受賞の名監督スティーヴン・ソダーバーグが、4年ぶりに映画監督業に復帰した『ローガン・ラッキー』。ウェストバージニア州で生まれ育った田舎者の兄弟ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)とクライド・ローガン(アダム・ドライヴァー)が、不運に見舞われてきたセコい人生をひっくり返そうとレーシング場の売上金を強奪しようとするクライムコメディだ。
劇中で重要な役割を与えられているのが、カントリーミュージック界のスター、ジョン・デンバーの1971年の大ヒット曲「カントリー・ロード」だ。主人公ジミー・ローガンのお気に入りの曲で、別居中の愛娘との絆を表す役割だけにとどまらず、物語の舞台となったウェストバージニアの人たちの郷土愛の深さが、この曲に集約されているのである。
John Denver - Take Me Home, Country Roads
同曲はカントリーミュージックでも屈指の有名曲であり、大勢のアーティストからカバーされ、映画やドラマに使われることも多い。日本ではジブリアニメ『耳をすませば』(1995)のテーマソングにもなり、ヒロインの声を務めた本名陽子が日本語詞でカバーしていた。
そんな定番中の定番曲ながら、今年(2017年)の映画界ではやたらと「カントリー・ロード」を耳にする。それも「カントリー・ロード」の歌詞に歌われているウェストバージニア州が舞台の『ローガン・ラッキー』はもとより、はるか宇宙を舞台にしたSFスリラー『エイリアン:コヴェナント』でも、英国紳士のスパイが活躍するアクションコメディ『キングスマン:ゴールデン・サークル』(日本公開は2018年)でも、「カントリー・ロード」が物語のキーになっているのだから驚かされる。偶然の一致とはいえ、発表されて46年経つとは思えぬ人気っぷりだ。