© 2017Twentieth Century Fox Film Corporation
『オリエント急行殺人事件』撮影現場と事件現場を同時に統括した、監督・主演ケネス・ブラナーの仕事術
2017.12.12
俳優から監督に進出するとオスカーも近い?
スター俳優から監督に進出し、その後、俳優業と監督業の両方を兼任している人は数多くいるが、その代表例がクリント・イーストウッドだろう。これまで長編37本を監督し、そのうちカメオを含めて23本に自ら出演している。しかし近年は監督に徹しており、2008年の『グラン・トリノ』を最後に自身の監督作には出演していない。今や「監督・イーストウッド」である。
同じようなパターンにロバート・レッドフォードがいる。1980年の『普通の人々』以来、イーストウッドほど多作ではないもののコンスタントに監督作を送り出しているレッドフォード。やはり自作への出演も多い。メル・ギブソンも初期こそ自身の監督作に出演していたが、『パッション』以後は演出に徹し、監督としての評価を高めている。この3人にケヴィン・コスナーも加えた面々は、スター俳優出身の監督でアカデミー賞監督賞に輝いた。残念ながらコスナーは近年、監督の機会がないが……。レッドフォードとコスナーは1作目、ギブソンは2作目で早くもオスカーに到達。スター俳優→監督は、すぐに高い評価を受けるケースが多い。
『オリエント急行殺人事件』© 2017Twentieth Century Fox Film Corporation
やはりアカデミー賞監督賞を受賞しているのが、ウディ・アレンだが、彼の場合は監督がメインで、俳優業がサブという印象がある。自身の監督作以外への出演が少ないからだ。他にもジョージ・クルーニー、ベン・アフレック、アンジェリーナ・ジョリー、ベン・スティラーなど、スター俳優から監督業への進出は後を絶たない。
日本でも、古くは田中絹代から、近年の竹中直人、奥田瑛二、田口トモロヲなど俳優と監督の両輪で活躍する才能は何人も挙げることができる。作風は違うが、ビートたけし(北野武)は「日本のウディ・アレン」と形容したくなってしまう。映画界においては「監督」としての印象が強く、その作品が波はあれど国内外で評価されている。そして自身の監督作にたまに中心的な役で顔を出しているからだ。